私の中庭(コートハウス)論

  • 2018.08.03 Friday
  • 14:38

コラム 「私の中庭(コートハウス)論」  第五回「夫婦と中庭(コート)」 (1)

 

住まいにおける夫婦にとっての中庭(コート)

これまで子どもにとって「中庭(コート)のある家」が成長過程でどう影響するのかその関係性を述べて

きましたが、中庭(コート)はむしろ夫婦や高齢者つまり、大人にとって必要なのではないかと思います。

住まいの今日的状況

これまで家づくりは、その動機も「子どものために建てる」が最も多いように、以前から子ども中心の

家づくりをしてきました。たとえば、子ども部屋の位置は、環境の良い場所を占め、それに引き替え、

夫婦の寝室は狭く寝るスペースしかないのがほとんどです。高齢化社会になって、男女とも平均寿命も

大きく延びました。家族のライフスタイルを考えたとき、子どもの部屋が必要なのは仮に小学4年生頃

から大学を卒業し,就職までと考えると14、5年ほどのことでその後、夫婦で過ごす20年〜30年の

時間のほうが圧倒的に長いのです。

家族は空間と共にあって、空間の占め方で家族の人間関係も大きく変わってきます。子ども中心の住まい

から、夫婦を中心に過ごしていく住まいを視野に入れながら家づくりを考えるべきだと思います

なぜなら子供が巣立って行っても、その後の子ども部屋の有効利用は考えられていません。子ども部屋は

空いたままか、物置か、妻が子ども部屋に移って、夫婦別寝室になるかいずれかで、家全体を見直す

リフォーム等も考えられていないのが現状です。住宅産業は便利、快適な商品には熱心ですが、住まいの

ソフトの部分は、何の提案もありません。

 

家庭内別居や離婚はどの年代にも多く、原因も小さな不満の積み重ねが元になっていると思えますが、

その不満には往々にして住まいがかかわっているケースが多いのです。その不満の原因を吟味してみると

お互いの居場所がどれだけ確保されているかにたどり着きます。

子育てに専念する20代〜30代、子どもの学校が終わり家を出る40代〜50代、その後夫婦で過ごす

生涯の時間。それぞれのシチュレーションの中で、家族から個人として住まいに求めるものも変わります。

一人で過ごす時間と空間は、この時代ほど必要と思いながら、私の設計する家でも夫の書斎が求められても

妻の個室はありません。データでは、8割以上の主婦が個室を求めています。

子育てに疲れたとき、誰にも邪魔されず一人で読書をしたいとき、ストレスを解消したい時、住まいの中で

見つけられますか。そんな時、住まいの同室空間の中に自然の中庭(コート)があれば心は癒されるはずです。

 

※ 次回「私の中庭(コートハウス)論」 第六回 「夫婦と中庭(コート)」(2) は8月7日(火) に掲載予定です。

 

 

 

 

 

 

私の中庭(コートハウス)論

  • 2018.07.31 Tuesday
  • 14:46

コラム 「私の中庭(コートハウス)論」   第四回 「子どもの成長と中庭(コート)」(2) 学童期・思春期

 

「子供の成長に必要なこと」 

就学前や小学低学年の子どもにとって、家は遊びの場として機能が求められますが、小学4年生頃から、

家族という認識や、プライバシーの観念、そして自分だけの部屋を求める欲求がめばえます。同時に、

協調性、創造性、そしてコミュニケーション能力を育む大切な時期であり、失敗すると家庭内暴力や、

不登校に発展するといわれています。

以前の社会は、子どもの成長過程におけるしつけや、上記の項目は、家庭、学校、地域社会がその役目を

担っていましたが、学校と地域社会はその機能が崩壊し、家庭だけが責任を負うことになりました。

特にこの時期の子ども部屋の与え方、その時期、どんな部屋といったことが大事になってきますが、

親としてあまり考えず、子どもには子ども部屋と機械的に個室を与えている場合が多いのが現実です。

子どもの成長過程で「家族空間」(家族の人間関係を含んだ生活空間)という意識を持つことが大切です。

 

学童期・思春期における中庭(コート)の効用

学童期・思春期の子供にとって「中庭(コート)のある家」はどんなかかわりが生まれるでしょうか。

 「誰も見ていない場所」、「誰も見ていない時間」をできるだけ与えない部屋は、いい子ども部屋の

 一要素だと思います。「中庭(コート)のある家」は中庭を囲むように、リビングや子ども部屋が並び

 ますので家族がどこにいても子どもの気配がわかり声も届きます。

▲好肇譽昂攜困篆瓦竜鐓貊蠅箸靴突効

 学校や家庭などで子どもは、さまざまなストレスを受けます。また近年、ともだち関係を含めた

 人間関係が築けなくストレスがたまる子どもが多い。子ども部屋では勉強部屋と位置づけられている

 ので、ストレスの軽減は難しいでしょう。無目的な場である中庭(コート)は自然が包み込んでくれます。

 ストレスが癒され、居場所づくりにもいいはずです。

C翊(コート)の「家族の年中行事」

 隣家からのプライバシーが守られた中庭は、秋のお月見、クリスマスツリーの電飾やこれまで家の中

 出来なかった行事で、新たな親子のコミュニケーションが生まれます。

せ匐,寮長過程を見ながら、中庭いっぱいに遊び回れるウッドデッキにしたり、砂場、樹木、家庭菜園

 などにつくり変え、子どもとともに楽しむことができます。

 

「中庭のある家」(コートハウス)は、子どもの成長過程において「生きる力」を育む住まいと言えるかもしれません。

 

※次回「私の中庭(コートハウス)論」第五回は、8月3日(金)掲載予定です。

私の中庭(コートハウス)論

  • 2018.07.27 Friday
  • 11:37

コラム 「私の中庭(コートハウス)論」  第三回 「子どもの成長と中庭(コート)」 就学前児童期

 

「子どもの成長に必要なこと」

住まいや住まい方は、子どもやその家族の暮らしと密接な関係にあることは言うまでもありません。

子どもにとって家中が遊び場であり、思春期に至るまで子どもは遊びを通して成長発達していきます。

遊びを通してテリトリー(なわばり)形成能力を育て、居場所も自分の力で見出していきます。

遊びの場がどのように確保されているかが大事なのですが、現実の住まいには部屋に家具や物も多く、

遊び場が奪われているのが実態です。また親自身がそのことに気が付いていないことが多いのです。

 

こんなデータがあります。5歳児が1日何歩、歩いているかの調査では、1987年には12000歩

1997年には8000歩、2000年には4900歩、近年では4000歩を割っています。

高層階のマンションに住む子どもはさらに少ないと言われています。遊ぶためのスペースを住まいの中

に確保する必要はそこにあります。

 

 

就学前児童期における中庭(コート)の効用

中庭のある家(コートハウス)のメリットは、明るさ、風通し、防犯などの物理的なこともありますが、むしろ

精神的、心理的に及ぼす影響のほうも大きいと第一回で話しましたが、子どもにとって中庭(コート)の

存在はどんな効用があるのでしょうか。

^汰瓦確保された遊び場として、室内では不可能な、創造的な遊びまで可能になります。

▲謄螢肇蝓(なわばり)形成力を育てる。用途が決められていない中庭(コート)はいい環境。

5鐓貊蠅箸靴討竜’

せ劼匹發覆蠅離好肇譽垢癒される場として、緑や花がある中庭(コート)は有効。(大人も同じ)

ッ翊(コート)の草や花は、子どもにとっても身近になり、情趣的な教育にも良い。

居場所について説明を加えると、居場所には2種類あります。ひとつは子どもにとって心地よい場所。

もうひとつは子ども自身で自分を発揮できる場所ですが、特に0歳から就学前児童期の子どもには、

心地よい場所を親としてどう用意してあげられるかでしょう。中庭のある家(コートハウス)はそんな選択の

場を広げてあげることでもあります。

 

※ 第四回は、就学児童期後の子どもと中庭のある家(コートハウス)を考えていきます。

 

 

 

 

「家の配置」の考え方

  • 2016.07.29 Friday
  • 13:05

[住まいのパンセ第3話]       「家の配置」の考え方 (コートハウス・中庭のある家) 

 

同じ敷地面積でも、「家の配置」によって、居心地の良さや広さの感覚も大きく変わります。一般的に間取りを考えることには時間をかけますが、家の配置については、ガレージや、門扉の位置を決めたら、残ったスペースが家と、かなり安易に考えがちです。

 

その結果室内の面積を広く取れば取るほど、前面スペースが狭くなり、家から見えるのは他人の家であり、庭もプライバシーが損なわれ、有効利用はできません。

このように前面を空け、家を後ろにセットバックする建て方は、ある歴史学者によると、日本人が農耕民族であったなごりだと指摘しています。確かに自然を相手に農耕を主としていた時代は、季節の移り変わりや、天候を判断するには、敷地に対して家の前を空けることは、利にかなった建て方だったに違いありません。

しかし、現代の日本の住宅地のような小さな敷地では、有効でないどころか、前に3階建てでも建てられれば、窓さえ開けられず、太陽の日も入らず、お昼でも電灯を点けざるを得ない状態になってしまいます。事実、もっと外の建て方は無かったのかと後悔されている方も多いようです。これらの問題のほとんどは、敷地に対する家の配置と設計の工夫に問題があります。

 

設計の工夫によって、積極的に敷地の狭さをカバーし、太陽の日を確保し、近隣からのプライバシーを守る方法の一つに「家の中から我が家を見る」という設計手法があります。敷地に対して、家をL字型、コの字型、ロの字型など、共通しているのはどの形も敷地をフルに使い、節約したスペースを、中庭にあてるという、建物が外に開くのではなく、内に開くという建て方です。狭い敷地でも設計の工夫によってコートハウス・中庭住宅は可能です。

コートハウス・中庭住宅は、太陽の日、風通し、近隣からのプライバシーが守れるばかりではありません。下記にメリットを記載します。

 

・豊かさ: 子供の遊び場、リビングの延長としてパーティ、バイキング、家庭菜園、楽しい暮らしの幅が広がります。

・広がり: 中庭を建物内に取り込むことによって、対角線に目線が通り、実際の床面積以上の広がりが実感できます。

・運 動: 中庭の空間はゴルフの練習や運動に最適ですし、高齢者のウォーキング、リハビリ訓練に利用できます。

・耐 震: 中庭形式の場合、柱も多く、囲まれた外部空間があるので、一般的な住宅に較べ耐震性に強いといえます。

・癒 し: ストレスや喧噪に満ち溢れた現代社会。中庭空間は自身の居場所として、安らぎを取り戻す場としても有効。

 

文章で書くと固い表現になりがちですが、中庭越しに、自分の家の他の部屋の明かりが見えたり、その中で働いている家族の姿を見るのは、楽しいことでないはずはないという、人間の心情を利用する方法でもあります。  

 

 

 

 

 

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