「家の配置」の考え方

  • 2016.07.29 Friday
  • 13:05

[住まいのパンセ第3話]       「家の配置」の考え方 (コートハウス・中庭のある家) 

 

同じ敷地面積でも、「家の配置」によって、居心地の良さや広さの感覚も大きく変わります。一般的に間取りを考えることには時間をかけますが、家の配置については、ガレージや、門扉の位置を決めたら、残ったスペースが家と、かなり安易に考えがちです。

 

その結果室内の面積を広く取れば取るほど、前面スペースが狭くなり、家から見えるのは他人の家であり、庭もプライバシーが損なわれ、有効利用はできません。

このように前面を空け、家を後ろにセットバックする建て方は、ある歴史学者によると、日本人が農耕民族であったなごりだと指摘しています。確かに自然を相手に農耕を主としていた時代は、季節の移り変わりや、天候を判断するには、敷地に対して家の前を空けることは、利にかなった建て方だったに違いありません。

しかし、現代の日本の住宅地のような小さな敷地では、有効でないどころか、前に3階建てでも建てられれば、窓さえ開けられず、太陽の日も入らず、お昼でも電灯を点けざるを得ない状態になってしまいます。事実、もっと外の建て方は無かったのかと後悔されている方も多いようです。これらの問題のほとんどは、敷地に対する家の配置と設計の工夫に問題があります。

 

設計の工夫によって、積極的に敷地の狭さをカバーし、太陽の日を確保し、近隣からのプライバシーを守る方法の一つに「家の中から我が家を見る」という設計手法があります。敷地に対して、家をL字型、コの字型、ロの字型など、共通しているのはどの形も敷地をフルに使い、節約したスペースを、中庭にあてるという、建物が外に開くのではなく、内に開くという建て方です。狭い敷地でも設計の工夫によってコートハウス・中庭住宅は可能です。

コートハウス・中庭住宅は、太陽の日、風通し、近隣からのプライバシーが守れるばかりではありません。下記にメリットを記載します。

 

・豊かさ: 子供の遊び場、リビングの延長としてパーティ、バイキング、家庭菜園、楽しい暮らしの幅が広がります。

・広がり: 中庭を建物内に取り込むことによって、対角線に目線が通り、実際の床面積以上の広がりが実感できます。

・運 動: 中庭の空間はゴルフの練習や運動に最適ですし、高齢者のウォーキング、リハビリ訓練に利用できます。

・耐 震: 中庭形式の場合、柱も多く、囲まれた外部空間があるので、一般的な住宅に較べ耐震性に強いといえます。

・癒 し: ストレスや喧噪に満ち溢れた現代社会。中庭空間は自身の居場所として、安らぎを取り戻す場としても有効。

 

文章で書くと固い表現になりがちですが、中庭越しに、自分の家の他の部屋の明かりが見えたり、その中で働いている家族の姿を見るのは、楽しいことでないはずはないという、人間の心情を利用する方法でもあります。  

 

 

 

 

 

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