階段は以前、機能性と実用性を主に求められてきましたが、リビング・ダイニングの空間などに設置されるようになってから、インテリア性や、シンプル性が求められ、様々な素材や、形態が多くなりました。このY邸も当初右側にクロゼット左側が階段でしたが、玄関に入っての開放性、明るさを検討し、工事中に現在のスチール階段に変更になりました。
階段部分は、オーダーのスチールで制作しています。 玄関を入って正面にある階段は一段目から5段目までは片持ち階段です。
片持ち階段の特色は、軽快さ、シンプル、開放性でしょうか。これまでの階段とは異なるイメージに仕上がります。
片持ち部分の下地のスチール(鉄骨)が見えます。プラスターボードに隠れて見えない片持ち部分は、どうなっているか疑問に思っていた方も多かったのではないでしょうか。結構がっちりしたスチールで支えられています。
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造作工事の段階は、電気の配線、エアコンの配管、といった壁のボードが貼られると、隠れてしまうため十分なチェックが
必要です。
2階リビングから、3階の仕事部屋を見ています。勾配天井のリビングから吹き抜けを通して南の空が見えます。
普通は暗い北側の階段上部の吹き抜けには3か所のトップライトがあり、明るい陽が降り注ぎます。
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造作工事の段階は、電気の配線、エアコンの配管、といった壁のボードが貼られると、隠れてしまうため十分なチェックが
必要です。
2階リビングから、3階の仕事部屋を見ています。勾配天井のリビングから吹き抜けを通して南の空が見えます。
普通は暗い北側の階段上部の吹き抜けには3か所のトップライトがあり、明るい陽が降り注ぎます。
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造作工事の段階は、電気の配線、エアコンの配管、といった壁のボードが貼られると、隠れてしまうため十分なチェックが
必要です。
2階リビングから、3階の仕事部屋を見ています。勾配天井のリビングから吹き抜けを通して南の空が見えます。
普通は暗い北側の階段上部の吹き抜けには3か所のトップライトがあり、明るい陽が降り注ぎます。
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造作工事 屋根勾配途中に北側斜線を利用した「屋上庭園」
造作工事 勾配を利用した屋上 厳しい北側斜線を利用し、屋上を創っています。Y邸の場合は3階に勾配天井の小さな仕事部屋をつくったので、隣に屋上をつくっています。
造作段階の屋上
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限りなく京都が好きで、東京の風景はほとんど描くことはありません。水彩画ですがこれまで100枚以上は描いていますが、特に
この四条大橋から鴨川、先斗町、北山を望む夕暮れの情景はとても好きで、描いてみたかったアングルです。
水彩の絵として、ブログに載せるのは初めてですが、京都の街並み、四季の風景など簡単な文章を織り交ぜて掲載していきます。
「建築家の京都案内」と共に、観て頂けたら幸いです。
京都を好きな方は私の周りにもたくさんおられます。街並み、神社仏閣、料理が好き、など様々ですが、私の絵を見ての感想や思い出など、なんでもお便り頂けたら嬉しいです。
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北側斜線が厳しい地域なので、斜線の勾配を利用し屋上バルコニーを取っています。ロケーションが良く視界が開けています。
]]>棟上げが終わると、建物の骨格、造作工事まで大工さんを中心にした、木工事が始まります。
前面道路が狭く、電線が建物のまじかに迫っているため、電線を避けてのクレーンでの荷上げは大変でした。また室内の窓から電線を極力見せないようにすることも設計の大きなポイントです。
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建物は四層で地下1階がRC造(鉄筋コンクリート)1・2・3階が木造という混構造です。混構造は一体の建築でありながら構造が異なるので、たとえば地震に対しても建物の揺れ方が異なるので構造計算が複雑になりますが、Y邸のように四層にしたい場合や、かつ全体の建物の加重を軽くしたい場合など、混構造のメリットはたくさんあります。
型枠を組んで地下一階の天井スラブに配筋の作業をしています。コンクリートを打つと鉄筋の組んだ状態は見えなくなるので、この段階でコンクリートのかぶりの厚さや、鉄筋と鉄筋のの間隔の寸法、配筋検査を行います。
コンクリートを打った段階。地下1階が鉄筋コンクリートで、この階から上が(1階〜3階)木造の構造になります。このように鉄筋コンクリートと木造の構造をもつ構造を、「混構造」と言います。
]]>住宅の敷地には様々な形状がありますが、このY邸の敷地は都心の高台に位置し周辺が良好な環境を維持していますので、法的制限も最も厳しい地域でもあります。建物は地下1階(鉄筋コンクリート)地上3階(木造)の混構造(階によって構造が異なる構造)です。
設計の着手から約1年の設計期間を経て、ようやく本格的なスタートをすることが出来ました。工事のプロセスが参考になればと思います。
以前の建物を解体したときの敷地の形状です。道路から約2,2Mの高低差があります。
土を漉き取り山留工事が完了の状態です。
床の配筋が完了した状態で、塩ビの管が立ち上がっているのは、排水管や給水管です。
地下1階の土間コンクリートが打ち終わった状態です。正面の長い大きなスペースはガレージで縦に2台駐車の予定です。
壁の配筋を組み立てている途中です。上から下がっている細い赤い管が電気の配線で床から40?の位置にコンセントが設置されます。
配筋のそれぞれの段階では、鉄筋の径、本数、ピッチ、被り、曲げ角度など設計図通りかの配筋検査が行われます。
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外構、植栽工事前の、建物完成写真です。外観、2階リビング(居間)ダイニングを中心に掲載します。
ドローンで上空から撮影
中庭を囲むように部屋が並んでいるのが分かります。1階中庭、2階角のルーフバルコニー、3階屋上スペースと、将来植栽の緑であふれる予定。
建物正面から撮影
2階の3つのスリットガラスから、リビングの灯りがこぼれます。玄関アプローチ横にシンボルツリーが入る予定。
東南の角から撮影
道路から中庭を撮影
3M以上の樹木、植栽が入る予定。
テレビがリビング(居間)の中心ではなく、床はタタミで天井までいっぱいの本棚がリビングの中心です。
リビングの本棚の延長に、勉強、パソコン、読書などのコーナーがあります。
ダイニング、階段スペースを観る
食事をしながら中庭が見える大きな窓。第二のリビングとして楽しめるルーフバルコニー。暮らしの幅が広がります。
リビングから続くルーフバルコニー
囲まれた半外部空間。 植栽を楽しみ、バーベキュー、ブランチ、読書、思索などなど。コロナ渦の時代に限らず住まいには、精神的に癒されリラックスできる場が何か所か必要と思います。
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新型コロナの感染状況は、第二回目の非常事態宣言が出されて3週間以上経つにもかかわらず、多少の減少はしたものの、終息の目途は立っておりません。長い自粛生活や在宅型テレワークは、様々なストレスを生み、その要因は家族、生活スタイル、価値観そして住まいの構造等、多様化し複雑に絡み合っています。住まいにおける変化は、1年前とは異なり家に手を加えたり、(リフォーム等)新築や購入においても、従来の家づくりとは異なった意識が芽生えているようです。
コロナ後の住まい (1)では今後の住まいづくりの方向性について述べましたが、今回はその変化を具体的な形で、4つの項目に分け考えていきたいと思います。
? 家の構造(間取り)の工夫と考え方
? 在宅勤務空間 −リビング、ダイニング以外の空間、装置ー
? 家にウイルスを持ち込まない工夫と配慮
? リビング、個室以外の居場所、癒しの場の拡充・設置
[ 家の構造(間取り)の工夫と考え方 ]
・日当たり(採光)や風通しの良い家
感染症対策からも、日当たりや風通しのよい家は強く望まれますが、狭小地に建つ家や、住宅環境が悪化している都市においては、各居室をはじめ、玄関、廊下を含め、日当たりや風通しを満たしている家は少ないと言えます。
特に玄関、玄関ホール、廊下などは昼でも暗く、空気がよどむ住まいが新築の住宅でもかなり多いのが見受けられます。
陽の光が玄関、廊下に入らないのは、箱形の家が多いというのも一因です。 設計段階の工夫によって、中庭やルーフバルコニーを取り入れることによって解決できるので、意識したいものです。
新聞社などの意識調査によると「マンションより一戸建」という希望がコロナ以前より増えているという結果が出ています。
マンションに比べ、一戸建てのほうが感染症対策がとりやすく、リスクを抑えやすいという背景があると思いますが、それだけに従来のように、部屋数が足りればいいといった考えではなく、家の隅々まで日当たりや、風通しがいいかどうかのチェックを忘れないようにしたいものです。
・子育てがしやすい家・家庭内のプライベート空間
在宅時間が増えたことにより、家事や子どもにかかわる時間も増えています。家族の会話時間や子どもと触れ合う時間も多くなる一方、ストレスや疲れも多くなります。相談に来られた方の、住んでいる家の間取りを見ると、子どもが遊ぶ空間とリビング、お母さんがいるキッチンや家事空間などの他、在宅で仕事をする動線、収納計画、家具の配置などがうまくいっていないことが多いようです。
在宅時間が多くなり今までは気が付かなかったこともあり、改善する動きになっています。子どもを見ながら、お母さんもしっかり仕事ができる、たとえ1帖の広さでもいいので専用の場の確保も必要です。この件については、次回 ?在宅勤務空間でも触れたいと思います。
家の構造に関することは、大変難しいので安易に考えず、どんな暮らしをしたいのか、現在の住居にどんな不満が顕在化しているのかを家族と話し合い、詳しい専門の方に相談した方がいいでしょう。参考にしてください。
次回は?在宅勤務空間を掲載します。
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寒い日が続いた晴れ間、S邸の地鎮祭が行われました。様々な事情で遅れ、Sさんご家族にとって待ちに待った地鎮祭の日でした。
新型コロナの非常事態宣言の中、参加人数も最少人数にし、神主さんはじめ全員がマスクをして執り行なわれました。
敷地に白いテープが張られていますが、1階平面の間取りです。
地鎮祭が終わってから、敷地に対する建物の位置を確認します。
建て主による「鍬(くわ)入れの儀」。土地の神様を鎮める重要な儀式です。 ■
地 鎮 祭:敷地の守護神に工事の安全と、建て主(Sさん)のご家族の繁栄を祈願する儀式です。
地鎮祭が終わり、建物の位置をお客様と確認すると、いよいよ工事が始まります。
これまでは設計図面を中心に、事務所やSさんのご自宅でのお打ち合わせでしたが、
今後は3対1ほどの割合で現場の状況を説明しながら現場の打ち合わせになります。
工事の手順は、建物の配置を正確に出す、水盛遣り方。
基礎図面に従って、土を掘って搬出することから始まる基礎工事に入っていきます。
株式会社 横山彰人建築設計事務所
]]>建築の設計をしている中で大きく影響を受けた心象風景といったら、それは生まれ育った山形の田舎の原風景ですが、その後大きく影響を受けたのは、京都の風景であり社寺、町屋、坪庭、路地空間です。四季の美しさや、建物の美しいプロポーションは設計に深く影響を受けたといえます。学生時代やその後建築設計を仕事としてから幾度か行った場所でも行くたびに新たな発見や驚きがあるのも、それだけ奥行きが深い魅力を秘めているといってもいいでしょう。
今回仕事で関西に行き立ち寄ったいくつかの建物を掲載します。どれも設計で影響を受けたとても好きな建物です。いつ行っても見学者で混雑していますが、今回は新型コロナの影響で見学者はほとんどなく、ゆっくり空間に浸ってきました。
写真の枚数も多いので、興味のある方は観てください。
【詩仙堂】
この建物は、お寺や書院ではなく、石川丈山という文人武士が人生の後半生を隠棲した、個人の住宅です。それだけにその人の境涯をしみじみと実感でき、静寂と調和と自然への愛着があふれています。(石川丈山の生涯はネットで名前を入れると詳しく分かります)
苔むした茅の屋根と竹の簡素な門が美しい
木立の中の細い道。静寂な時間が流れています。
家に上がると暗い家の中から、均整のとれた柱の先に、明るい庭が見え、庭先の丸い刈込みが光の中に浮かび上がっていた
写真では見えないが、植栽や石の向こうには高台なので、京都の町並みが小さく見える
日本の建築独特な「透ける」空間。庭と一体になったスケール感がとても好きです。
庭から見た建物ですが、庭と縁側や軒の高さが美しい。建物奥に北側の庭が見え空間構成が素晴らしい。
屋根が瓦と茅葺の二重の屋根が見ていてあきない。その比例配分も感動します。
玄関に入るとその奥に庭が見えます。建物に陰影と奥行が感じられます。自身の設計を考えるとき参考にします。
縁側の中ほどの竹で敷いた床、小さな勾欄、その先の石の手水鉢。その周りは木や草で奥深い。とても床しさを感じます。
縁側と軒の天井が美しい。室内である縁側と、室外の軒裏が同じ化粧垂木で、軒下空間も室内に取り込み一体感を創っている。
雨の為の竹で作った横樋。縦樋はありません。建物に雨がかかるないよう樋を50?程のばしている。樋を支える木もいいですね。
庭の一段下がった所にある「ししおどし」。竹の筒に小さな水がそそぎ、一杯になると水の重さで竹筒が回転して、頭を下げて水を吐き出し、元の位置にもどり、その際に敷石を打って音をたてる。その音はどんな楽器にも似ておらず、「木霊」のよう。静寂の中で聞いていると時間が止まっているようです。できれば凍てつく冬の深夜に聞いてみたいと思いました。
畳の空間と縁側の寸法そして奥行、庇の出、庭との段差、柱の割や太さ、庭との関係、このスケールは建物によって全て異なります。私は大きな寺院の建物と庭の風情も好きですが、この建物のように住宅のスケールをもった建物に限りない魅力を感じます。
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非常事態宣言が解除され、19日からは首都圏をまたぐ移動や、イベント、飲食店の時間、遊園地などの規制が解除されました。
しかし依然と新型コロナ感染者も多く、二次感染の不安を抱きながらの日々を余儀なくされています。
長い自粛生活によって変わったのは、テレワーク、在宅勤務といった働き方だけではありません。長い自粛生活は今まで気が付かなかった住まいについての不満、疑問、暮らし方について見えてきたこともあります。
設計を生業としているものとして、私なりの考え方、分析を試みてみましたので参考にしてください。
■一緒に居る時間が長かったことによって夫婦・親子が住まいについて感じたこと
? 住まいのどこにも自分が落ち着ける居場所がないことに気が付いた。 (イライラやストレスなど疲労が蓄積)
? 自分一人になって仕事に専念できる部屋がない。 (小さくても自分の部屋が欲しい)
? 部屋数だけが並んだ住まいはリビングも狭く、心に余裕が持てない。 (座ればテレビしか見れない広さ)
■新型コロナウイルス感染予防で改善したい点
? 玄関・玄関ホールに手を洗えるオシャレな手洗い場が欲しい。 (洗面所まで遠く手を触れてしまう)
? 機械換気(電気による換気)でなく自然の風や通風が通るようにしたい。(廊下など風が通らず、換気が悪い)
? 外から帰ったら玄関近くで着替えをしたかった。クロゼット必要。 (玄関近くで着替えと手洗いをしたい)
???については以前からnLDK形式(2LDK、3LDK等)の間取りの欠点として指摘されていました。しかしハウスメーカーや住宅産業が画一的な2LDK、3LDKといった住まいを大量生産してきた結果、購入する側も選択の余地がなく、間取りに合わせた暮らしをせざるを得ない状況でした。図らずもコロナウイルスによって、長期にわたる自粛生活で住まいを深く考える時間が生まれたといってもいいかもしれません。
???はこれから家づくりやリフォームを考える際参考にしてください。
※?〜?の見直しは新築ばかりではなくリフォームでも設計の工夫によって十分可能です。あきらめずご相談ください。
(ご相談はメール、FAXにてお願いします)
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第三回 ・「注文住宅」であるための3つの条件
前回の3項目について説明を加えます。
■ 間取り、(平面プラン)、デザイン、空間の100%の自由性がある事。
注文設計、自由設計とは基本的に平面計画、空間、デザインは、100%自由であることを前提に設計のスタートをすることは当たり前の事といえます。(もちろん法的制限内であることは当然です。)それは平面プランだけではありません。プラン作成段階での天井の高さ、窓の開口、トップライト、吹き抜け、など自由に決めることが出来なければ意味はありません。(国から「型式適合認定」の許認可を受けているハウスメーカーは、宣伝で自由設計と言っていますが、許認可を受けている範囲内の自由であり、自由性は極めて範囲が狭く制限されています。お客様には契約をし、設計が進んでからでないと分かりません。)その前提があって初めて「こだわりの住宅」、「世界でひとつだけの我が家」を創るためのスタートラインにつく事が出来ると考えています。
■ 設備機器、材料、インテリアグッズを含めて、あらゆる商品の選択の自由がある事。
世界中からあらゆる商品が集まっている豊かな日本。そして東京で、設備、建材、照明、クロスなど、ハウスメーカーの決めた限られた商品の中からしか選べないとは、おかしいとは思いませんか。
それは選択の自由ばかりではありません。その商品は誰でも一般的に気に入るだろうと思われる最大公約数的な商品になっていますので、そこに個性というものが見えてきません。つまり自分で様々な商品の中から選ぶという、「こだわり」の部分が消えてしまいます。あえてラインナップ以外の材料や、商品を選ぶと恐ろしく高い見積金額になるか、海外の商品などは使えないはずです。
■ 設計者が設計段階から完成まで、お客様と一緒に監理し、チェックしてくれる事。
お客様の中には、設計が完了するとあとは自然に自分のイメージした建物が完成すると考えておられる方が多いようです。私の経験から申し上げますと、お客様と設計者が設計段階でイメージを共有し、描き出したイメージを完成させるには、設計者による「工事監理」抜きにして考えることはできません。
【設計段階と工事中のイメージの違い】
人間は時間が経つにつれて、考え方や求めているイメージが変わることは当然ですし、ましてや設計段階と、三次元の空間(工事中)に身を置いた場合では印象も大きく変わります。また設計段階で見えていなかったものが見えてきて、もっと良くしたい、使いやすくしたいと希望が出てくるのも当然の話なのです。 お客様自身が、工事が着々と進行していく中でその判断を的確に建築業者に伝えることは難しいので、常にお客様、設計者、工事業者の3者との打ち合わせのもと、より良い方向に進めていくことはとても大切ですし、「世界でひとつだけの我が家」を創るためにも必要な作業です。
【設計段階と工事中の目の錯覚】
さらに大事なことというより、考えておきたいのは、目の錯覚です。設計図にはたとえば、タイルの色、クロスの色、塗装の色などは記されていません。
大切な色彩については、ハウスメーカーは、設計段階でサンプル調をみて、ほぼ1日がかりですべて決定してしまい、工事が始まってからは変更ができないシステムです。私の事務所では、候補となる色見本を取り寄せ、工事現場に持ち込み、日の当たる壁、影になっている壁などにサンプルをあてて最終的に決定します。
設計段階でテーブルの上で決定する色とずいぶん変わってきますし、お客様にとっても納得のいく判断ができます。私の事務所の場合は色の部分ばかりではなく、外壁、屋根の色、フローリングの色、開口部の大きさまでお客様と一緒に工事現場で最終的に決めています。(設計段階で全て決めるのは効率はいいのですが、初めての家づくりであるお客様にとっては、常に判断が揺れ動いているので、設計者として適切な判断やアドバイスをしながら、プロセスを踏んでいきます。)このように監理の業務は設計図通りに工事が進んでいるかどうかばかりでなく、お客様と設計者が一体となって、「こだわりの住まい」や「世界でひとつだけの我が家」を創っていくための大事な業務なのです。
【上記のように、設計者による工事監理は、とても大切だと思いますが、ハウスメーカーは設計者による工事監理はありません。国から「型式適合認定」の許認可をとっているため工事中の修正がきかないため、設計者による監理は必要ないということなのでしょう。確かに効率性や経費削減にはなるでしょうが、私は設計者による監理がないということは、どうしても理解できません。】
※今回も文章が長くなってしまいましたので、「日本の住宅産業や私たちが反省しなければならない事」は次回、第四回目として掲載します。
※ご不明なところ、ご質問、ご意見については、メールにてお問い合わせください。
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第二回 ・私が考えるハウスメーカーの短所・デメリット
■私が考える短所・デメリット
前回はハウスメーカーの長所を上げてみましたが、今回は私が考える欠点、デメリットを見てみたいと思います。(項目の中で欠点と思わない方もいらっしゃると思いますので、「私が考える」としました)
? 柔軟な対応が苦手
大きな組織で、かつ効率を上げるため分業化 (営業、設計、工事、管理) が徹底しているため、住宅は細やかな項目が多いので、伝達が伝わらない場合があります。後で「言った」、「言わない」からクレームに発展することがあります。
? デザインや間取り(平面プラン)がかなり制約され、自由度が限られています。
ほとんどの建材や、部材が規格部材なので、設計を詰めていくと、驚くほど自由度がありません。国から「型式適合認定」を受けている工法、寸法ですので許認可を受けている範囲でしか自由度がなく、設計がスタートしてからでないと一般の方には分かりません。
? 設備機器(キッチン、洗面キャビネット、その他)、建材、インテリアグッズ、など限られた商品の中でしか選択できない。
限られた商品を大量に仕入れ、大幅にコストダウンをしているので、建主の自由な選択や、在来でキッチンや浴室を造る事は不可。
? 設計部と工事部の分業化のため、設計者による工事監理がない。
設計が終わると工事部に全て引き継がれるので、工事中に当初のイメージが変わったり、もっと良くするためや修正など、設計者と相談したくても、設計者がいないのでできません。ハウスメーカーの場合、たとえ造作工事の変更であっても出来ないシステムです。 (設計段階の図面の上での考え方と、工事中の空間が実感できる状態では、考えのズレが出て来て当然なのです。その段階で設計者と打ち合わせを行い、さらにいい状態にしていくことはとても大事な作業と、私は考えます。工事着工から完成まで、そんな場面は、私の現場の場合は何回もあります。)
? 「施主支給」はできない。(建主が商品を直接仕入れる事によって、工事金額のコストダウンを図る)
理由は?と同じで、会社としてできない体制になっています。
上記5項目の短所、デメリットを上げましたが、私の考えは「注文設計」、「自由設計」の条件は、ハウスメーカーの短所と指摘した?、?、?の条件が全て可能な場合に限ると考えています。要約すると
・ 間取り、(平面プラン)、デザイン、空間の100%の自由性がある事。
・ 設備機器、材料、インテリアグッツを含めて、あらゆることの選択の自由がある事。
・ 設計者が設計段階から完成まで、お客様と一緒に監理し、チェックしてくれる事。
上記3項目が可能であって初めて、「こだわりの住宅」、「世界でひとつだけの我が家」が可能になっていくと考えます。
※ 次回、第三回に上記3項目をさらに詳しくご説明いたします。また「ハウスメーカーの宣伝する「注文住宅」、「自由設計」とは」は今回の文章が長くなってしまいましたので、申し訳ありませんが次回にいたします。
※ ご不明なところ、ご質問、ご意見については、メールにてお問い合わせください。
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第一回 ・ ハウスメーカーの歴史 (背景と企業体質) ・ ハウスメーカーのメリット、優れているところ
■ 時代背景
日本に初めてハウスメーカーが登場したのは、今から60年以上前の1955年(昭和30年代)です。それまで住宅建築を担ってきたのは大工さんや、職人さんの手によって組み立てられる、伝統的な「木造在来工法」でした。
しかし、戦後、高度経済成長に入りつつあった時代に、住宅が極端に不足し、大量に住宅を供給する必要になりました。 そこで建材や部材を規格化し、工場で大量に生産して、住宅を安価に供給するために創業されたのが、住宅メーカーであり、現在のハウスメーカーです。そして現在では、住宅供給棟数ではハウスメーカー抜きにして考えられないほど、巨大企業に成長しています。
■ ハウスメーカーの特徴
成長の歴史を見て分かるように、企業として急成長し利益を生み出す大きな要素、特徴の主な要因を上げてみます。
? 『工業化(プレハブ化)』 住宅を構成するあらゆる建材、部材のプレハブ化。
? 『工場での大量生産』 プレハブ化された建材、部材等を工場で大量生産。
? 『型式適合認定の取得』 部材、仕様、工法をあらかじめ行政から認定を取り、本来必要な検査等の手続きを簡略化する事によって経費を圧縮し、利益確保に貢献します。この『型式適合認定』は、建主にとって何のメリットもないばかりか、将来増改築をすることがかなり難しいか、許可が取れません。[この部分はあまり知られていません] 適合認定を取得した建物の弱点といえます。
? 『大量製品仕入れ方式』 設備、建材メーカーから製品、仕様をしぼり、大量に購入し大幅なコストダウンを可能。
?〜?は、工務店等ではできない、ハウスメーカーの4大特徴といえます。その結果ハウスメーカーは住宅原価を下げることに成功し、各ハウスメーカーによって異なりますが、住宅1棟につき
粗利益率45%〜50%。1棟2、000万(税抜) の住宅なら原価約1、100万(税抜)(粗利益45%)以上を実現しています。
その膨大な粗利益の主な内訳は、人件費のほか、テレビ、ラジオ、雑誌、パンフレット広告宣伝費、住宅展示場の出展、営業マンの報酬、企画開発経費や本社、支店経費、保障費、その他に充てられます。
企業は収益構造を確立することが目的ですが、ハウスメーカーは完全に住宅を、一般のモノと同じ「商品」として住宅を位置づけていることが分かります。
※ 時間をかけ、お客様と「世界でひとつだけの我が家を作りたい」という作業から比べると、ハウスメーカーの家づくりは、いちばん遠い所にあるように思います。
・ハウスメーカーの主なメリット・優れているところ (ネットで検索するとこのほかにも出てきます)
[品質の安定] 全て部材や構造等の仕様が規格化され、工場生産するため、品質にばらつきがない。
[工期が短い] 部材の調達から施工、完成まで効率よくシステム化。設計部門と工事部門の分業化。
[保障の充実] 企業としての制度や体制が充実しています。保障の付帯サービス等が整っています。
※ 一生一度の、こだわりの家づくりを考える場合、ハウスメーカーのメリットは、あまり関係がないように思うのは私だけではないと思うのですが。 もちろんお客様が、上記のメリットを、家づくりの優先順位の一番に上げるのなら、ハウスメーカーに依頼したほうがいいでしょう。
※ 次回第二回目は ・私が考える短所・デメリット ・ ハウスメーカーの宣伝する「注文住宅」、「自由設計」とは。
※ ご不明なところ、ご質問、ご意見については、メールにてお問い合わせください。
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これまでホームページ「建築家のスケッチブック」のブログで、「世界でひとつだけの我が家をつくる」、「家づくりは最初できまる」(動画)、「施主支給」など、お客様が家づくりに失敗しないために、私の経験をもとにお役にたつ題材を取り上げてきました。
今回のタイトルは、現在ハウスメーカーで検討されている方に怒られそうなタイトルですが、ハウスメーカーは長所や、優れているところはたくさんあります。しかし、ハウスメーカーでお客様が、『こだわりの住宅』、『世界でひとつだけの我が家』を第一優先にしたいと思っている方は、止めたほうがいいという意味です。構成上3回に分けて連載したいと思います。
第一回 ・ハウスメーカーの歴史 (背景と企業体質) ・ハウスメーカーのメリット、優れているところ。
第二回 ・私が考える短所、デメリット ・ハウスメーカーの宣伝する「注文住宅」、「自由設計」とは。
第三回 ・「注文住宅」であるための3つの条件 ・日本の住宅産業や私たちが反省しなければならない事。
※ ご不明なところ、ご質問、ご意見については、メールにてお問い合わせください。
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12月に入って、紅葉の見ごろも過ぎていましたが、相変わらず観光客で混雑していました。写真は京都分室から近い清水寺の紅葉です。11月30日に夜の紅葉ライトアップも終っていますが、久しぶりの晴天で、お寺の朱色の伽藍に映える紅葉はとても美しい情景でした。
この写真はもちろん帰りの新幹線の窓から撮ったものです。こんなに美しく見えるのは珍しいので、
思わずシャッターをきりました。た。後ろの座席に座っている外国の方が思わず感嘆の声を上げていました。
]]>冷たい雨が続き、久しぶりの晴れ間、日本画家河合玉堂美術館に行っていました。杉林を背景にがっしりとした大屋根造りに低い屋根が重なり合い、白の壁と瓦のコントラストがとても美しく、美術館の建築としては私の好きな建物です。設計は数寄屋建築の第一人者、建築家 吉田五十八氏。ほかに五島美術館も吉田さんの設計です。写真でもわかるように、飛騨高山の民家や、寺院の回廊などが設計のモチーフになっています。敷地には陳節室、日本庭園、木造の画室などがあります。
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毎年11月の酉の市が来ると、駆け足のように年の瀬が迫ってくるようです。昨日20日は二の酉で、仲間やお客様と毎年蔵前の「駒形どじょう」にあつまって、ドジョウを食べ酉の市に繰り出します。もう20年以上続いています。今年は例年より暖かい日でしたがたくさんの人で賑わっていました。
例年ですが熊手(くまで)は買わず、神社にお参りをし、お酒を飲み、情緒を楽しんできました。
]]>私の事務所は、「施主支給」を積極的に受け入れています
現在の住宅業界(工事会社)の多くは、「施主支給」に対して、工事利益の減少、面倒な手間、経費が掛かるとの理由で極端に消極的です。またハウスメーカーは全く「施主支給」は認めておりません。 なぜでしょうか。
私の多少独断的な言い方になりますが、工務店の場合は古い体質ゆえに、長年続いている流通業者との取引をなかなか崩せない事と、なによりも「施主支給」を認めると、大幅に工事利益が減ることになります。
ハウスメーカーの場合は、建築資材、設備 (キッチン、洗面キャビネット、便器、あらゆる住宅設備機器) など全ての商品を絞り、大量に購入することによって想像以上の大幅なコストダウンをしていますので、個々のお客様の「施主支給」は大きく利益を減らすことになり、認める訳にはいかないのです。
しかし、自由市場のこの時代、あらゆるものがインターネットやその他の手段で選択し、自分なりの個性やこだわりを求めていける時代ですし、納得いく金額で購入できる時代です。それなのにハウスメーカーは「施主支給」はおろか限られた商品の中からしか選ぶことが出来ません。お客様の側を向いていない企業体質に怒りすら覚えます。
私は以前から疑問を持っていましたので、事務所と登録している工事会社との間では、最大限「施主支給」を受け入れる体制をとっています。このことは実施してみて分かったことですが、とてもいい面が出てくることを確認しています。それはお客様が自ら選らび、手配し、購入する商品は (もちろん設計者としてアドバイスはします) 責任が伴うため、設計の打ち合わせもとても熱心で真剣です。また家が完成し暮らしが始まった時、家族で選んでいるだけに、愛着もひときわ深いものがあるようです。
「施主支給」になってコストダウンした分のお金は暮らしの充実や (笑い話ではありませんが、設計監理費用のほとんどを賄ったと言うお客様もおられました) 付加価値を高めるために使うなど、さらに充実した家づくりに繋がっていく気がします。
■「施主支給」(せしゅしきゅう) の意味
お客様が工事会社にたいして住宅設備、アクセサリー類、その他を提供すること。お客様が直接工事会社に対して提供するため、通常の工事より安くなるメリットがある。
※ コストダウンするための「施主支給」のルールもあります。詳細についてはメールでお問い合わせください。
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ー 建築家・設計事務所の選び方 −
自分に合った建築家・設計事務所をどう選ぶか。「建築設計事務所」という看板を掲げていても、仕事の内容は様々です。病院建築が主だったり、公共建築や商業建築が中心だったりいろいろですが、やはり住宅設計を中心にした設計業務をしている建築設計事務所を選ぶことが賢明です。
選ぶ基準は私なりに申しあげますと、手軽な方法として、インターネットや本で調べて気になった建築家・設計事務所をピックアップし、絞り込んでいく方法もあります。その場合の注意点ですが、お客様はどうしてもデザイン住宅というか、カッコイイ住宅を設計している設計事務所に目が行きがちですが、あまり良い選択の基準ではありません。
特にデザイン性を売りにしている事務所は、打ち合わせの段階でも、デザイン優先が先行し、せっかくお客様が家で話し合った暮らしのイメージをあまり聞いてもらえない場合も多いのです。私の事務所もデザインにこだわりますが、バランスの問題です。デザインはその時代にカッコ良くても、10年ほど経てば陳腐化する可能性もあるのでその見極めも必要です。
まず、ホームページでその代表の建築家の設計コンセプトや、どんな思いで設計しているのかという部分に注目してください。またその方の人生観を知ることも大切ですが、なにも語っていない建築事務所はむしろ選択の基準から外したほうがいいでしょう。平面プラン (間取り) によって暮らしも行動も全く変わりますので、家族の絆や会話など生活動線を大切にしている建築家・設計事務所であれば、デザインにしても味のある、飽きのこない家ができるはずです。
最後の決め手はやはり人間性かと思います。直接お会いし、家族で話し合った暮らしのイメージやこだわりをはなし、分かり合えたら、その方に家づくりを託してもいいのではないでしょうか。
ぜひ、一生一度の家づくりを、「世界でひとつだけの我が家」を建てて、暮らしを楽しんでいただきたいと思います。
■ 設計料がかかるので、建築家・設計事務所に依頼したくても無理と考えているお客様に。
設計料についてですが、建築家・設計事務所と二人三脚で建てる家は、お金に換算できない価値をもちますが、設計料を入れたコスト的に見ても安いのではないでしょうか。私の事務所の場合においても、設計料を加算しても大手ハウスメーカーより金額が低く完成した事例がたくさんあります。近年の狭小住宅については、平面プラン (間取り) を含むコストバランスは間違いなく、建築設計事務所が勝っていると思います。 お客様の「世界でひとつだけの我が家」をつくりたいという、熱意が一番大切です。
※ 第一回から第五回(最終)まで、ご購読ありがとうございました。 ご質問・ご相談メールにてお受けします。
『建築家となら望みどおりの家が建つ―事例でみるプランニングから完成まで』
こだわりのある住宅を、建築家とつくるためのプロセスを実例と共に解説しています。
少し古い書籍ですが、ご参考にしてください。
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ーハウスメーカー、工務店、建築設計事務所のどこに頼んだら実現できるかー
地震に強い家、気密性、断熱性といった機能性を高める工事は、ハウスメーカー、工務店、建築設計事務所のどこでも可能です。機能性だけを求めて満足できるのであれば、どこでも良いかもしれません。しかし、「世界でただひとつだけの我が家」を創るのは、建築設計事務所しか対応できないと断言できます。なぜ無理なのか説明します。
■ ハウスメーカーが対応できない理由。
規格化された住宅をつくる会社だからです。柱、梁といった構造材(通し柱、土台、梁など家の骨組み)やその他の部材など、コストを大幅に抑えるため、大量生産できるよう規格化されています。(規格以上に天井を高くしたい、必要なところにトップライトや吹き抜けをつくりたいは、規格から外れるので自由にできません。もし場所によってできても大幅な追加見積もりになります。)
それではなぜハウスメーカーの多くは、「自由設計」と言っていますがなぜでしょう。
規格化された部材である以上、「決められた範囲の自由設計」であり、最大公約数的な住宅になってしまいます。自由設計といいながら、平面プラン(間取り)を進めていくと様々な規制があって、完全な自由設計でなく、設計の自由度が大幅に制限されるのに、なぜ素人のお客様が誤解するような言い方をするのでしょうか。それは、お客様を囲い込む営業が先行していると思います。お客様が、思ったほど自由にならないと気が付くのは、設計が進んでからでないと見えてきません。
ハウスメーカーの企業体質、住宅に関しての考え方。
企業である以上、きれいごとを言っても効率の良い利益の確保が最優先です。それ故、住宅を「商品」として扱い、効率化と工期の短縮を掲げているため、設計者がお客様と十分な時間をかけて住宅をつくりあげていくことは、会社の体質上ありえません。ハウスメーカーの設計者は、会社の方針である効率、スピード、契約先行の枠を外れることはできません。設計者として許せないことですが、お客様の敷地を見にも行かず、グーグルマップの映像から設計する例も多いと聞きます。
■ 工務店が対応できない理由。
地元を中心に地元密着型が多く、会社として設計施工を謳っていますが、施工が収益源ですからお金を生まない設計部門は立場も弱く、間取りやデザイン面も会社が工事がやりやすい、無難なものを指向します。設計部門を持っている工務店と設計者がいない工務店もあり、その場合は外部の設計者に依頼し、お客様と打ち合わせをします。また素材や設備面でも、会社にとって仕入の掛け率の良いもの使って利益を出していることもあり、設計者もあえて新しい考え方や、素材を使うことにはかなり消極的です。
上記の企業体質から見ても、設計者がお客様と十分な時間をかけ、自由に提案やアイデアを出し「世界でひとつだけの我が家」をつくりあげることは無理といえます。
■ 建築家・設計事務所
建築設計事務所の場合なぜ「世界でひとつだけの我が家」を創ることが出来るかというと、『完全な自由設計が可能』ですし、お客様が希望するどんな『工法(木造、鉄筋コンクリート、鉄骨造、混構造)や仕様(材料、素材、設備)も選択可能』です。
ハウスメーカー、工務店が、設計効率と利益優先を掲げているのにたいして、建築設計事務所が最優先するのは、『お客様の暮らしに合った、理想的な生活の実現』です。そのために設計のスタートの段階から、家という形にするまで、お客様に寄り添い、設計者が納得のいくまで時間をかけます。そこに、お金では換算できない価値がうまれ、「世界でひとつだけの我が家」がうまれると考えています。
次回は最終になりますが、建築設計事務所もたくさんありますし、建築設計事務所の看板を掲げていても住宅が得意、不得意や、大きい建物を中心に設計している事務所もあります。自分の家族にあった建築家・設計事務所を何を基準にして選べばいいかを考えてみたいと思います。
※ ご質問、ご相談はメールでお受けします。
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ーハウスメーカー、工務店、建築設計事務所のどこに頼んだら実現できるかー
家族で考えた、どんな暮らしをしたいのか、家族のこだわり、ライフスタイルといった様々な要望や暮らしのイメージを伝え、相談し、そして家という形にしていくのは、設計者です。設計者は極めて大きな責任を持ち、お客様との最初の打ち合わせから、平面プラン (間取り) そして住まいの形にしていくまで、一般的には次のようなプロセスをたどることになります。
? お客様から時間をかけて、暮らしのイメージを丹念に聞き取ります。
? 打ち合わせから、設計者なりのお客様の「家族像」を読み取ります。
? 提案やアイデア、そして敷地の特性や環境を考えながら打ち合わせを
重ね、スケッチ、模型などで設計者なりのイメージを固めていきます。
? 要望事項やアイデアをさらに膨らませながら、設計者と二人三脚で、
暮らしにピッタリ合った、平面プラン (間取り) をつくりあげていきます。
私の事務所では、この段階でお客様にA、B案の二つの案を提案します。その理由はたとえば富士山に
登る場合いろいろな登るルートがあるように、様々な角度から検討した平面プラン (間取り) を提案し、
お客様が検討しやすく、イメージが膨らむようにしています。もちろん設計コンセプト(概念)は同じです。
?〜?の流れは、お客様から最初にお話を受けてから、住まいの形になるまでのプロセスですが、家づくりを頼む会社によって、企業体質的にしばりや規制があり、設計者が自由にできない会社は、「世界でひとつだけの我が家」はつくることができません。この部分はなかなかお客様には分からなく、見えてこないところでもあります。
お客様は、設計者は家づくりのプロで一級建築士だから、どの会社の設計者も同じと考えている方も多いのですが、中身は企業体質によって、設計の取り組み方も、設計者自身の家に関する考え方も、全く違うということを認識してください。
次回はどこに頼んだら「世界でひとつだけの我が家」をつくることができるか、具体的に会社の体質、企業方針、設計者の立場を含め考えていきます。 次回掲載予定は10月23日(水)です。
※ ご質問、ご相談はメールでお受けします。
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−ハウスメーカー、工務店、建築設計事務所のどこに頼んだら実現できるかー
失敗や後悔する8割以上は、どこを選ぶかの選択の基準と優先順位の混同にあります。そしてそれは「いい家」はどんな家かの認識が間違っていることから起こります。
一般のお客様が思っている 「いい家」とは、・地震に強い家、・気密性・断熱性、・防犯性や・システムキッチン、床暖房など最新の住宅機器、・太陽光発電、のように機能性を完備した家がいい家と思いがちです。しかし、これらの仕様を全部そろえても「いい家」にはなりませんし、ましてや 「世界でただひとつだけの我が家」 になるわけではありません。
これらの機能はとても大切ですし、暮らしを便利、快適にしますが、「いい家」の必要条件の一つにすぎません。また個性的な建物の外観や、収納がたくさんある家も魅力的ですがこれも必要条件の一つです。
それでは何が家にとって必要かというと、住まいに命(いのち)を与えるのは 『住まいに、いかに家族に合った暮らしを反映させるか』 といったソフトの部分がしっかり考えられ、それが完成した家に反映されていて、はじめて「世界でただひとつだけの我が家」になるのです。
お客様が家づくりの最初に検討し行動することは、住宅展示場に行くことではありません。次のことをご夫婦、あるいは子どもさんを交えて話し合ってください。
? 家族とどんな暮らしをしたいのか。
? 家族で大切にしたいことや、家族のこだわり。
? どんなライフスタイルを望んでいるのか。
?〜?を話し合い 「我が家の暮らしのイメージ」 を家族で確立することが家づくりの最初の段階において、優先順位の第一と考えます。 外観のイメージ、部屋数、収納、設備などの検討の前に話しておきたい大切なことです。
次回は、家族で考えた、暮らしのイメージを誰に伝え、相談するかを考えていきたいと思います。
第三回掲載は、10月21日(月) の予定です。
※ ご質問、ご相談はメールでお受けします。
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ーハウスメーカー、工務店、建築設計事務所のどこに頼んだら実現できるかー
家を建てる『動機』は・子どもの勉強部屋をつくりたい。・お父さんの定年まで住宅ローンを完了したい。・夫婦で終の棲家をつくりたい。・こだわりのライフスタイルを実現したい。など様々です。
しかし、『どんな家に住みたいですか』という質問には、誰もが「世界でただひとつだけの我が家」を建てたいという思いは共通しています。しかし、実現できない人が実に多いのです。なぜでしょうか。
振り返ってみて、人生にとって大事なことを決めるのに、意外に十分な知識や経験をもとにした決断をしたいと思っても、出来ないことが多いのではないでしょうか。職業の選択、就職、結婚、そして家づくりにしてもそうです。
誰もが一生一度の家づくりを、十分な準備時間と知識を蓄え、取り組みたいと思っているはずです。しかし、現実はどんな住まいが自分の家族にとって望ましいか、という基本的なことを問いかけたり、相談する相手もないまま、ある日突然家づくりが始まり、あれよあれよと進行し、こんなはずではなかったと後悔や、悔しい思いをする家族が多いのです。
しかし、振り返ってみてその時々の決断、判断は全て自分で行ってきたため、その怒りをどこにぶつけていいかわからないまま、最終的に一般的な普通の家でもいいかと、あきらめてしまう方がほとんどです。
失敗や後悔の原因は、私の経験から申し上げますと、意外にも家づくりスタート段階の、ハウスメーカー、工務店、建築設計事務所の中でどこに頼むかという検討段階にあると言えます。
理想を高く掲げて、「失敗しない、後悔しない家づくり」をして頂きたい。そんな願いを込めて、何回かに分けて掲載します。
※ ご質問、ご相談はメールでお受けします。
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ご報告
台風15号による千葉災害を、ユーチューブ 建築家に聞く「千葉災害」 としてアップしました。見て頂ければと思います。
台風15号は9月9日午前5時ごろ、千葉県千葉市に上陸し、最大瞬間風速57・5Mが記録され、9日の段階で千葉県で63万棟の停電、家屋の被害は全壊、半壊、一部損壊を含めると1万1000件を超えました。今回の台風の大きな特色は、長期にわたる停電と、広範囲にわたる家屋の災害ではないでしょうか。
様々な教訓を残した台風15号について、 今後のオール電化住宅の考え方、災害に強い家づくり、建築基準法で定めるの耐風等級、風に強い家の形状などを説明しています。
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2階がリビングダイニングです。1階から2階に階段を上がると直接リビングの空間です。廊下がなく廊下面積ゼロですので壁もなく開放的な空間です。階段の上部にはトップライトがあり、暗くなりがちな階段ですが一日中光にあふれています。
階段の左側はご主人の書斎でその奥がトイレです。トイレもリビングの一角にありますが全く違和感はありません。廊下がないので床の広がりが感じられます。
2階から3階に行く途中にニッチがあります。手すりも兼ねられますが、アクセサリーやお花を置いても殺風景になりがちな階段のアクセントになります。 2階リビングの一部天井が吹き抜けでリビングの床からは高さが5・5Mあり気持ちのいい空間です。将来3階の増築も可能なように梁を2本設置しています。奥に見えるトップライトは階段上部のトップライトです。
2階リビングルームに家族のだれもが使うスタディーコナーがあり、そのコーナーの一角に手洗いがあります。子どもが勉強や遊びの後に、手を洗うのにとても便利です。
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これから家を建てられる方に、何が一番大切にしたいですかという質問に、多くのお客様は「リビングルームでの家族だんらん」と答えられます。しかし家が完成してもホームパーティーや家族だんらんは期待した通りには、実現していないようです。
前回同じリビングルームでも会話のしやすい間取りと、しにくい間取りがあると記しましたが、会話がしにくい間取りとはどのような間取りでしょうか。
? 子どもの居場所がない。? リビングに物や家具が多すぎる。? 食事とテレビを見る以外、他の行為ができない。
会話が自然に成立しやすい間取りをどう作っていくのか、それはリビングダイニングが広ければ良いというものではありません。家族それぞれの居場所があり、会話が弾む要素を持った空間をここでは『多機能(たきのう)空間』と呼びます。多機能空間とは、家族一人ひとりの様々な行為を包み込む空間と言ったらいいでしょうか。食事、テレビを見る以外に、子どもの勉強や遊びのコーナー、父親の晩酌や仕事の残り。お母さんのパソコンや読書や趣味といった行為がリビングルームという一つの空間の中で何の障害もなく、自由に行える空間を言います。こんな空間の中で初めて子どもも親も自分の居場所を見出すことができます。
父親がテレビを見ていたら、家族もテレビを見ざるを得ない家具のレイアウトや配置であっては、子どもは食事が終わったらさっさと自分の部屋に行ってしまうことが多くなるでしょう。リビングルームの中で、どこにどんな家具や装置を整えるかはその家族によって様々です。できればダイニングキッチンとリビングルームのレイアウトと子ども部屋、親の寝室の生活動線は設計者の手を借りたほうが賢明です。人の動きによって変化する情景や、この椅子に座ったらなにがどのように見えるかは、心理学的な要素が必要だからです。設計者は家族と打ち合わせを重ね、家族像を読み取り、その家族にふさわしい空間を設計図に落とし込んでいきます。(この作業は住宅を商品として扱うハウスメーカーではなく、建築設計事務所でなければ無理でしょう。)
統計によりますと現在の日本の家族の会話時間は、世界50か国では最下位ですし、夫婦の会話時間も一日30分間を切っています。その原因の一つとして先に述べたこともありますし、それ以上に親が会話の重要性を自覚していないことにもよります。
これから家を建てようと考えている方には、ぜひ考えていただきたいことがあります。家を建てるとき、外観やデザイン性を最優先する方が多いのですが、過去を振り返っても、その時代、時代によってデザインは変わりますし、5年から10年後には外壁の素材や流行の色合いも変わってきます。誰もが「世界で一つだけの我が家」を作りたいと望みますが、それはデザイン性に求めるのではなく、その家族の暮らしに合った、また会話が自然に生まれる居心地の良い、家族の絆が強くなる家が、「世界で一つだけの我が家」なのだと思います。
※ 文中においてのご意見、ご質問、間取り等のご相談はメール、FAX(03 3348 2829)にてご連絡ください。
■ 第一回から第四回まで読んでいただきありがとうございました。 第一回からアクセス数が多く、関心の高さが伺えました。
第四回については平面プランも掲載しながら説明したかったのですが、ブログでは真意が伝わりにくいので、掲載するのをやめました。 「世界で一つだけの我が家」の設計含め、個別に対応させていただきますので、ご連絡ください。
【問い合わせ先】横山彰人建築設計事務所
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前回は、子どもが「ゲーム依存」、「引きこもり」にならないためには親と子の信頼をベースにしたルール作りと、会話が自然に発生しやすい環境、つまり家の構造や間取りが大切と記しました。まずルール作りから考えてみますと、子供の成長過程で、どんな親と子のルールを決めたらいいのでしょうか。子どもの精神年齢や性格によってルールも変わってくると思いますが、下記のことが有効ではないかと思います。
? 一日のゲーム時間を明確に決める。 (30分とか1時間とあらかじめ決めておく)
? ゲーム機を部屋に持ち込まない。 (ゲームをやる場所はダイニングかリビングと決めておく)
? ゲーム機を置く定位置を決める。 (リビングとかゲーム機の置く定位置を決める)
? ゲームの課金は○○までと決める。 (課金をあらかじめ決め心のブレーキをかける)
親と子どもの間では、一度決めた約束を破ったらペナルティを課すことも考えてよいと思います。また子どもはほかの子がゲーム機を持っていれば当然ほしがりますが、親の方針として、ゲーム機を持たなくても生活に支障がない間は、できるだけ持たさないようにするという考えがあってもいいように思います。
これは子ども部屋の与え方とも共通しています。子どもは物心がつくと自分の部屋をほしがりますが、、子どもの成長の度合いを測りながらどの時期に、どんな広さの部屋を、どんなルールを作って与えるかは大切です。しかし、親の役目としてもっと大切なことは、現実の生活にはワクワクすることがたくさんあることや、夢や創造性のあることに目を向けさせることなど、ゲーム以外の楽しみを子どもと共有していくことによって、間接的に「ゲーム離れ」を誘導することのほうがもっと大切ではないかと思います。
子どもにとってゲーム依存がより深刻な問題として考えられるのは、発達段階の子どもの脳は、成人よりもゲームの刺激をダイレクトの受けやすいので、ゲームのプレイ時間をコントロールすることが困難であることが指摘されています。自分で制御できなくなった子供が、引きこもりになっていきます。ゲーム依存症は歴史の浅い病気であることから、治療の手当てが遅れていることも事実です。それだけに家庭の中で親が子どもとの間で、ゲーム機の取り組み方を真剣に考えておく必要があります。
次回、第四回は、家族の会話が自然に発生しやすいリビングダイニングのありかたや、リビングダイニング、子ども部屋、親の寝室の動線について考えてみたいと思います。
※ 文中においてのご意見、ご質問、間取り等のご相談はメール、FAX(03 3348 2829)にてご連絡ください。
【問い合わせ先】横山彰人建築設計事務所
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私は子どもの「ゲーム依存症」や「引きこもり」は、親子の会話と家の環境がキーワードと考えています。たとえばパチンコは18歳から、アルコールとタバコは二十歳からと年齢制限がありますが、ネットやゲームに関しては〇歳から接している子供も多くいます。
年齢制限がないことは、それだけ依存症になりやすく、危険度も高いことを意味しています。幼児の子育ては家庭の責任が全てですから、家庭教育がいかに大切かがわかります。
子供の成長過程で子供がゲーム依存症や引きこもりにならない子どもは、家庭でどんな過ごし方をしているのかを見ると、私は下記の?〜?に記載したことに尽きると思います。
? 寝るときしか自分の部屋に行かず、いつもリビングダイニングルームで家族団らんの中で過ごしている子ども。
? 家族団らんの場であるリビングルームで、自分の居場所がある子ども。
? 家が好きで家族と一緒にいるのが楽しくて、家族との会話、コミュニケーションが多い子ども。
上記の子供と親の関係は、自然に育まれるわけではありません。常に子供の成長を見ながら、居場所をつくってあげたり、親が意識して子どもとの信頼関係を築いていって初めて可能なのです。
子ども部屋にしても、子ども部屋を与えるだけでは精神的な自立をしていくわけではありません。子供の成長を見ながら、与える時期、広さ、子ども部屋の占める位置を考え、与えることは大切です。与えたら親の役目は終わったとばかり放置してしまう場合が多いのですが、しっかり見守っていくことで、子どもは徐々に自立していきます。
暮らしを営むには、その家族の様々なルールがあるはずです。子供の成長過程で、ゲーム依存や引きこもりにならないルールを幼児のうちから決めておくことが大切です。(具体的な親子のルールは次回掲載します)
子ども部屋の位置と親子の会話時間
また親子が一緒に過ごす家族だんらんの場はどんな場であればいいのでしょうか。リビングダイニングが、家具や物でいっぱいで足の踏み場もなかったら、子どもは食事が終わったら自分の部屋に戻ってしまうでしょう。当然居場所を見出すこともできません。またリビングルームと子ども部屋が遠く離れていたり、玄関から直接親の目に触れず、自分の部屋に行ける間取りであればどうでしょうか。この場合は間違いなく親子の会話時間は少なくなります。子どもがいつ帰ってきたか、いつ出て行ったか、出入りが分からない部屋であれば、ゲーム依存も引きこもりも、親が気が付いた時には手遅れになってしまうケースが多いのです。
このように親子の会話時間と触れ合いの時間は、家の構造や間取りと深い関係があることが分かります。
次回第三回目は『ゲーム依存、引きこもり、にならない子ども』 −生活導線と親子のルール 2 −
※ 文中においてのご意見、ご質問、間取り等のご相談はメール、FAX(03 3348 2829)
【問い合わせ先】横山彰人建築設計事務所
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元農林水産事務次官が長男(44)を刺殺した事件は、オンラインゲーム「ドラゴンクエストX」に耽溺し、定職に就かず引きこもり状態でした。相次いで、引きこもり状態の男が起こす事件を見て、「ウチも他人事じゃない」と思っている家庭が日本中たくさんあるはずです。
厚生労働省によれば、現在日本でオンラインゲームを含めた病的なインターネット依存が疑われる中高生の数は、推定九十三万人と過去五年間で倍増していると言います。特に若者を中心にゲーム依存の問題は、さらに拡大し深刻化していくと予想されます。ゲームにはまってしまうと部屋にこもりきりになり、学校に行かなくなり、親が注意すれば暴言、暴力といった問題行動を起こし、やがては大切な自分の人生を台無しにしてしまいます。
九年ほど前、私の著書「子供をゆがませる間取り」(情報出版センター), 「危ない間取り」(新潮社)を出版しました。犯罪者の家の間取りを掲載し、間取りから見えてくる親子の関係性や、子ども部屋のありかた、親子の会話の重要性を問題提起しました。
ゲーム依存症や引きこもりの症状に、精神科の医師や、専門家の識者は共に改善の対処方法や、「これが有効だ」という確固たる治療法は今のところないといい、問題の深刻さを伺うことができます。そして唯一改善させ治療に結び付ける手だては、本人との話し合いではなく「家族との対話」だと指摘しています。
「ゲーム依存」や「引きこもり」の重要なキーワードが「親子の会話」なら、親子が会話をしやすい住居空間も当然大切になってくるはずです。家の構造や間取りの良し悪しによって、会話の成立しやすい間取りと、しにくい間取りがあることを長年の設計経験で確認しています。今回の一建築家の提言は、住居空間をつくるプロの立場から、ひとつの提案ができるのではないかということが動機になっています。何回かに分けて掲載していきます。
次回、第二回目は 『ゲーム依存症、引きこもり、にならない子ども』 ー 生活動線と親子のルール ー
※ 文中においてのご意見、ご質問、間取り等のご相談はメール、FAX(03 3348 2829)にてご連絡ください。
【問い合わせ先】横山彰人建築設計事務所
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造作工事が進むとお客様もようやく全体の建物の概要が見えてきますので、様々な変更や追加の希望が増えてきます。私の事務所ではそんな要望に対して、多少戻りの工事になったとしても、計画変更となって再度申請を出すことになっても、できる限り対応していきます。そんな小さな積み重ねが理想の家づくりに近づく作業と思うからです。
効率重視のハウスメーカーは工事途中の変更は高い金額になるか、基本的に変更はしません。お客様にとって初めての家づくりは、工事前にいくら詳細な図面や模型を見ても分からないものです。実際に建物が立ち上がって見えてこないと空間の感覚がつかめないはずです。 照明器具やコンセントの位置も同じです。電気工事で配線をした段階で、お客様と現場で再度確認をするようにしています。 事務所ではこの造作工事段階では、極力お客様に現場に足を運んでもらい、打ち合わせを重ねるようにしています。
リビングダイニングは家族のだんらんの場として居心地よく楽しい場にすることは大切ですが、空間として時間とともに陰影が変化したり一部吹き抜けを作ったりと様々な仕掛けを作ることも重要な要素です。上の写真は、ダイニングは低い天井ですがリビングは二層分の吹き抜けでトップライトから光が降り注ぎます。電動で開閉しますのでいつも新鮮な空気が循環します。
【問い合わせ先】横山彰人建築設計事務所
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前回のブログでこれまでに設計をやらせていただいたお客様へ「住まいのチェックリスト」を送らせていただいたのですが、10年前に設計し完成したお客様から、近況を含めうれしい手紙が届きました。
楽しく過ごされている様子や、子どもの成長の様子がわかり、建築家としてとてもうれしい限りです。設計や工事中の懐かしい思い出がよみがえってきます。私の著書「子どもをゆがませる間取り」を読んでの設計のご依頼でした。子ども部屋はできるだけ狭くその分リビングを広く、家族がリビングに自然に集まれるような、そんな住まいだったと思います。階段を中心に回遊性を取り入れた楽しい間取りでした。
【問い合わせ先】横山彰人建築設計事務所
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長い期間建築設計や、増改築を含めたリフォームを手掛けていると、その数はこれまで200件を超えているのは間違いありません。設計させていただいてからずいぶん時間がたち、家族構成が変わって間取りの見直しや、経年変化による外壁、設備のリフォーム。その他耐震補強や、バリアフリーなどのご相談も増えてきました。
下記の『住まいの点検チェックリスト』はこれまでのお客様にお渡ししているものですが、ぜひご参考にしてください。
住まいの手入れは、「人間ドック」と同じで症状が出る前の早めの見直しが大切です。気が付いたところがあれば、お気軽にご相談ください。
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棟上げが終わると、構造の補強のため金物工事や筋違をし建物が耐震的に強くする工事をします。そのあとは屋根工事、外部に面している窓や開口部を固める鋼製建具工事に向け工事が進んでいきます。
ダイニングキッチンの位置です。右側の開口はダイニングのベンチが作られ上は出窓です。
東南の角地なのでロケーションが美しい。
この段階で筋違の位置、開口部の寸法を再確認します。
〒160-0023 東京都新宿区西新宿3-3-23 ファミール西新宿
TEL / 03-3348-2808 (代表) FAX / 03-3348-2829
]]>事務所として一年を通して、「住宅相談」、「家族を幸せにするカウンセリング」を開設し、無料で平面プラン、住まいの悩み、トラブルの相談などに対応していますが、このところ数年前と比べると、耐震補強やバリアフリーについても、考え方が変わっているようです。そんな相談が増えています。今回は「5月の掲示板」として下記3項目にまとめています。参考にしてください。
「家族を幸せにするカウンセリング」についても、住まいにおける様々な悩みや問題が、大きなストレスになっているケースもあり、事務所の間取りのアドバイスやリフォームによって解決するケースもあります。次回はそんな問題も取り上げてみたいと思います。
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以前のブログで、私の好きな建築家の一人に、吉村順三氏を挙げたことがありますが、吉村さんのお弟子さんの一人でやはり住宅設計の名手、宮脇壇も好きな建築家です。吉村さんはほとんど著書を残しておりませんが、宮脇さんは住宅や旅の本などたくさんの著書を残しております。私はほとんどの著書を読んでいますが、宮脇さんは残念ながら62歳で1998年に逝去されました。
今回の企画展は、写真のようにエスキース、スケッチなど自らの手で描いた図面が展示されていました。
シンポジュームも開催され、元所員の方や親交のあった方などが、建築家 宮脇壇氏の作品や魅力を語ったりとても意義深いシンポジュームでした。
宮脇さんは自身の建築思想と異なるハウスメーカーや住宅産業と、住宅作品や著書で戦い続けた人でもありましたが、作品の中に込められた家族の優しさがあふれた住宅作品を、作り続けた建築家でした。
彼がよく使った言葉に『かっこうが良ければすべてよい』とか『家の中から向うに自分の家が見えるのは楽しい』などがあります。家の中から向うに自分の家が見えるというのは、すなわち「中庭のある家」をさしています。宮脇さんの作品群の中に「中庭」を取り入れた作品も多くあります。都市住宅のあるべき姿や家族が楽しく暮らす器としての設計手法として、『中庭のある家を』思考していたのだと思います。そんなことも建築家 宮脇壇が好きな理由です。
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■ 増築したいが検査済書がないため、増築ができない。
■ エレベータを設置したいが、検査済書がないと言うと建築業者から断られた。
上記については、調査、申請図面、手続きが複雑で住宅の場合、ハウスメーカーや工務店は敬遠してしまう場合が多いようです。
しかし、家族にとって家族のライフスタイルの変化や、加齢にともなうホームエレベータの設置。増築して親と二世帯同居にして一緒に住みたいと考えるのは当然の流れです。しかし、検査済書がない場合、代わりに行わなくてはならない作業と審査基準のハードルはとても高いのです。
私自身設計の体験から、エレベータさえあれば、自宅で家族とともに暮らし、生涯を全うすることができるのに、検査済書がないために(30年以上前の建物は検査済書を取得していない建物が多い)設置を断念せざるを得ず、やむなく老人施設に入居する事例が多くあります。とても矛盾を感じます。個々の家の構造によって取るべき対処は異なりますが、事務所としては可能性に精力的にお手伝いしていきたいと考えています。現在検査済書がなく、どこに相談したらよいか悩んだり、問題を抱えている方は事務所にご相談くだい。
※ お問い合わせはメール、FAX、お電話でご相談ください。
〒160-0023 東京都新宿区西新宿3-3-23 ファミール西新宿
TEL / 03-3348-2808 (代表) FAX / 03-3348-2829
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昨日26日から31日まで京都の寺町通りの画廊で、グループ展が開かれています。案内のハガキの絵は、四条大橋から北を見て町屋と鴨川の風景です。題は「夕暮時の鴨川」。2月の夕暮を描きました。
京都はたくさんの好きなスケッチポイントがありますが、四条大橋から夕方から夕焼けを背に暮れていくにつれ町屋(先斗町の料亭)に灯りがともり、川面に灯りが映る情景が特に好きです。六月からは川床が設けられまた風情があります。
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工事の工程からすると基礎工事が終わった段階は、始まったばかりのように思いますが、設計者にとっては、遣り方、建物位置、地盤補強など重要な決定が続き、基礎工事が終わればまずはひと段落というところ。今まで設計図で何度も確認してきても、棟上で1日のうちに三次元の立体的な家の形が見えてくると、いつもながら感動します。
基礎が打ち上がった、この段階でお客様に部屋の位置や近隣との間隔など、遣り方の段階で明確にわからなかったことなど説明を行います。
アンカーボルトの位置や、配水管、給水管の位置を確認します。
U邸の現場は角地で道路幅も広いので、比較的棟上げの作業はスムーズに運びました。
夕方ようやく棟が上がり、明日からの大工作業の材料をそろえ、本格的に大工作業が始まります。
〒160-0023 東京都新宿区西新宿3-3-23 ファミール西新宿
TEL / 03-3348-2808 (代表) FAX / 03-3348-2829
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東日本大震災から、今日3月11日で早8年が過ぎました。政府の復興支援が順調に進んでいる報道や、2020年の東京オリンピックで盛り上がっている現実があります。 そして被災があった地域やその実態はともすれば記憶が薄れがちなこの頃です。
昨日 新宿 K,s cinema で映画「福島を語る」を観てきました。この映画は土井監督が100人を超える証言者の中から選んだ14人の方の証言を映像にしたものでした。福島第一原発事故後、故郷を追われ、家も仕事も失い、家族離散など。
深い心の傷、痛み、生きがいや心の支えを失った喪失感など、証言者の口から語られます。観ていてとても切なく、言葉が出ませんでした。
「故郷とは何か」「家とは何か」「家族とは何か」「人間の尊厳とは何か」「幸せとは何か」 深く考えさせられる映画でした。
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Yさんご夫婦は長い間名古屋で暮らし、会社の定年前に、生まれ育った東京で「終の棲家」を作るために土地を購入されました。設計の打ち合わせは主に名古屋でしたので、京都のアトリエに行く途中など煩雑に行いました。打ち合わせ場所は名古屋駅に隣接しているJRセントラルタワー(245M)の最上階の名古屋市内が一望できるラウンジで、楽しい設計打ち合わせでした。完成し1年半がたち、中庭の樹木も育った段階で、2回目の写真を撮らせていただきました。
建物正面。構造は木造2階建。スタイリッシュな外観にする為、右側が玄関のアプローチです。
正面の3本のスリット部分の奥が中庭です。左側のシャッター部分はガレージで上のスリット部分はルーフバルコニーです。
中庭。北側のやわらかな陽が入ります。2階ベランダの床は陽を通すグレーチングです。
中庭の床のタイルは施工した工務店が仕入しご主人が貼りました。いい出来栄えです。
中庭に開く浴室。林の中の浴室のようです。
2階のダイニング。折り戸を全開するとベランダ、中庭の空間が一体になりまるで外で食事をしているような、爽やかな気持ちになります。
現代風の和室。2階で中庭に面しています。
階段を上がった洗面コーナー。照明は鏡の後ろの間接照明のみ。
階段上部のトップライト。
中庭に面したご夫婦の書斎。2帖の狭い書斎ですが窓の位置を下げ、窓枠もやめて、カウンターの奥行きを広げ有効利用。
ご主人ご自慢の居間兼オーディオルームです。周りは住宅地なので、床、壁、天井には防音の建材を使い施工精度をあげました。また最高の音質が出るようにご主人の計算から天井高さを3Mを確保しています。
〒160-0023 東京都新宿区西新宿3-3-23 ファミール西新宿
TEL / 03-3348-2808 (代表) FAX / 03-3348-2829
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外構工事完成前の外観です。
リビングから中庭とキッチンを見ています。中庭の床はリビングの床と高さと色を合わせています。
キッチンから中庭とトップライトを見ています。3階のプレールームの窓から、子どもと会話もでき、気配がわかる。
視角がなかにわのルーフバルコニーと出窓からの景色が見えますので、
実際の面積より広く感じられます。画面右側の階段は、3階への階段です。
ガレージ上の収納庫に入る上げぶた。子どもが喜んで遊ぶこと請け合いです。
トップライトの光が同時にプレールームにも入ります。
3階プレールーム。将来簡単なりフォームで子ども部屋になります。天井は斜線制限いっぱいの高さです。
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引っ越し前の写真です。間接照明が多かったので夕暮時に撮影しました。二世帯住宅で、玄関は共用ですが,
1階が両親の住まい、2階が子世帯の住まいです。中庭を通してお互いの気配がわかり、程よい距離感を作っています。
中庭から二階を見上げた写真です。中庭には3M以上の植栽や四季を通して咲く花々や、コーヒーやブランチもできるテーブルやベンチが並びます。
2階の廊下から子世帯のリビングを見ています。リビングダイニングは中庭を囲むむようにL型のリビングルームです。中庭の周りは回遊式なので子供も、ぐるぐる走り回ることができ、楽しさが広がります。
勾配天井の上のトップライトから光が降り注ぎます。突き当りのカウンターは子どもの勉強コーナーです。上部の小窓もプレールームの窓で、どこにいても家族の気配がわかります。
北側斜線が厳しく天井の低いところで、1,9Mですが、勾配天井とやわらかな間接照明で、低さを感じない空間になりました。
天井の材料はレッドシダーの無垢材なので、木目の変化が美しい表情を出しています。
洗面化粧台。両親と浴室は共用ですが、子世帯はシャワー室を設置しています。鏡の周囲には間接照明を入れ、
天井のトップライトからは、朝日も入ります。やわらかな空間になりました。
狭い子供室ですが、梯子を設置し、上部がベットで楽しい立体的な子供部屋になりました。
屋上からの夜景。夕焼けが美しい。遠くに深大寺公園の緑が見えます。
手前のトップライトは洗面所に光を落しています。中庭を通して2階リビングの間接照明が美しい。
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長い設計期間を経て、ようやく工事が始まりました。敷地面積64,33?(19,46坪)狭小地の部類に入りますが、それだけにプラン作成の段階で、十分時間をかけ6案目で最終プランになりました。
■ 設計について
平面プランは時間をかければ、かけたなりに家族に合ったいいプランができると思っています。事務所としてはこの段階は十分な時間をかけます。現在はあまりにも安易に、短時間で平面プランを作ることが多いように思います。
家を作る時の最大の目標は、家族みんなが幸せになること。それには家族全員の行動を想定して、一緒に過ごせる団らんの部分や、反対に一人でゆったりと過ごせるところと、両方を考えて設計をしなければなりません。それは単に個室があればいいということではありません。家族の居場所、気配、視線の方向、生活動線など様々なことを想定し、どんな状態が心地よいかを考え、設計に落とし込んでいく作業が大切だと考えています。ハウスメーカーや注文建売はそこまでの時間をかけることはしませんので、せっかくの家づくりが、とても、もったいない気がします。
下記の写真は、地盤補強、根切、配筋といった部分ですが、工事が進むと全く隠れてしまうので、プロセスがわからない方も多いので参考にしていただければと思います。
遣り方が終わり、建物の位置が正確に決まったので、次の作業は地盤補強の作業に入ります。
地盤補強の方法はいろいろありますが、検討の結果「杭状地盤補強」とし、直径500?の杭を27本打つことになりました。
杭を打ち込んだ状態です。隣の配管は今回配管をした排水管です、
根切りを行っています。この後鉄筋の配筋の作業が行われます。
配筋が完了。コンクリートを打つと隠れてしまいますので、この段階で検査をします。またこの段階で瑕疵保険の配筋検査も行われます。
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私の著書「子供をゆがませる間取り」(情報出版センター)や「危ない間取り」(新潮社)を読んで興味をもたれ、わざわざ韓国から3名で事務所に取材に見えました。建築の構造が人間に様々な影響を及ぼすことに触れ、人間にとって良い建築・家を探りたいとのことでした。著書に掲載した犯罪を起こした少年の家を中心に、家の間取りの解説と説明をしました。ドキュメンタリー番組として、来年の3月放映予定とのことでした。
家の間取りを見ながら説明しています。
「女子高生コンクリート詰め殺害事件」主犯少年Aの家の間取り図。
少し解説をしますと、両親と少年Aと妹の4人家族が住んでいた家です。この家は建売住宅を購入したわけではなく、妻の実家が建築資金を出して建てた注文住宅です。間取りを見ると、家族そろって食事をする場所が見当たりませんし、応接室にはピアノを教えていた母親のグランドピアノが置かれ、家族だんらんの場もありません。家族の暮らしが見えてきませんし、注文建築ですから、どんな考えのもとに両親が間取りを決めたのか理解できません。
両親は仲が悪く、家庭内別居を経て離婚しましたが母親はピアノの下で寝ていたということです。少年Aは幼少のころから家族揃って食事をしたことがないと裁判で証言しています。中学生のころがら2階の部屋で同棲を繰り返し、家族はバラバラで母親もなにも抑制の効かないままこの事件が起こりました。
出版社によるとこの本は、多くの小学校や市立図書館に購入されたそうです。
子供がどんな環境で育つかは、本当に大切です。近年、大人の目線で見た住まい造りが多く目につきます。高層階での子育てや、暮らしの便利さや快適さが優先され、子どもの部屋は夢も創造性も育むことも出来ない居場所のない部屋を与えています。最新の設備に対しては敏感ですが、家族の暮らす間取りに対しては無頓着で相変わらずホテルタイプの部屋を選ぶことが多いようです。
間取りによって生活は大きく変わります。家族の絆が深まり、自然に会話が生まれるそんな住まいをめざしててもらいたいと思います。ご質問や間取りでお困りの方、新築、リフォームに限らずご相談ください。無料でお答えします。メールで相談内容をお聞きした後面談します。
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完成間近で様々な職人さんが入っています。工事の足場がなくなると建物の全景が現れ一気に完成です。
玄関ドアも外壁と同じ素材、レッドシダーで吊り込んでいます。外壁の着色はキシラデコール塗
ですがドアの室内側はクリアラッカー塗で仕上げています。
玄関のドアを開けると、中庭の緑と青空が見え視角が広がり、実際の建物より広く大きく感じます。
外壁は、素材を分けレッドシダー貼りとリシン吹付です。リシン色は濃いグレー色です。
レッドシダーで囲まれた空洞は、建蔽率が限界でしたが建物のバランスから空洞にして
建蔽率から外しています。
リビングルームの間接照明。北側の厳しい斜線制限(1.9M)を間接照明の造作で低さを感じさせません。
間接照明の光は天井と壁を照らします。天井はレッドシダークリアラッカー仕上げです。木の質感
と色合いがとても美しく仕上がりました。壁は塗装仕上げで北側と西側で色を変えています。
リビングルームの勾配天井。3か所のトップライトがあり、日中は太陽の明るい光が降り注ぎ、
夜は間接照明の灯りが美しく空間を演出します。壁は塗装仕上げ。上部の窓の部分はロフトで
ゲストルームや子どものプレールームとして利用。リビンクルーム゙から子どもの遊ぶ姿が見え,
リビングルームと親子のコミュニケーションが生まれます。
中庭です。太陽の日差しが時間とともに変わっていきます。ドラマチックな明るい中庭です。
両親のリビングは1階、子供夫婦のリビングは2階。中庭を通して適度な距離感を生み、家族の気配
がわかります。完成後中庭には3M以上の植栽や(プランターBOX)ベンチが入る予定です。
家族の第二のリビングルームとして、ブランチ、読書、コーヒータイム、バーベキューなど楽しめます。
浴室は1階で二世帯共用ですが、2階の子世帯にシャワー室が設置されています。
向かって左の鏡の後ろに間接照明があり、ともすれば固くなりがちな洗面所を光がやわらかく包みます。
シャワー室の壁は、濃いグレーのボーダータイルとオフホワイトの200角タイルです。
洗面所とシャワー室の間は透明ガラス(テンパライドア)なので空間の広がりを感じさせます。
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これまで、第一回から第十回まで、中庭(コート)のある家が、家族や暮らしにどんな恩恵をもたらすのかを、子供、夫婦、
二世帯住宅を取り上げて述べてきました。今まで中庭(コート)のある家のメリット(長所)と言われてきた事項以外に、
精神的、情緒的にも従来の住まいにない安らぎを得られることも述べてきました。そして第十一回、第十二回では、
中庭(コート)のある家のデメリット(短所)といわれている部分について、短所を長所に変えたり、短所を設計の方法や、
工夫によって補いクリアにすることができることを述べてきました。改めて中庭(コート)のある家の魅力を簡単にあげてみます。
? 十分な 採光 どの部屋も明るくなります
? 十分な 通風 空気の循環が良く、風通しが良くなります
? 解 放 感 同じ面積でも実際の広さ以上の感覚が得られます
? 安全な子供の遊び場 中庭で、プール、砂場遊び、ブランコ、その他
? プライバシーの確保
? 防犯面の確保
? アウトドア、DIY 第二のリビングとして、バーベキュー、食事、ブランチ
? 二世帯住宅の場合 家族同士の程よい距離感をつくりだしてくれます
? 「縁側」の機能 かつての縁側のように、子供、両親、老人の居場所となります
? 癒(いや)しの場 外の社会で抱えたストレスや緊張を解消する役割を果たします
?〜?までは生活するうえで欠かせない「明るさ」「通風」「安心」をもたらしてくれます。(前提として設計の工夫や
設計者の資質によって完成度が変わります)
?〜?は従来の住宅とは異なり、暮らしの豊かさと幅を広げます。健全な住まいには現代の住まいのように用途別の部屋ばかりではなく、住まいの一部である中庭のように、無目的な場は必要です。きっとメンタルな面で心の拠り所となるはずです。
隣家と軒を接して建つ現代の住宅環境。その中で、プライバシーを確保しながら、自然を呼び込み、室内と室外が一体となった豊かな住空間と精神的な居場所を確保しようと思うとき、「中庭(コート)のある家」は、今日最も有効な設計手法の一つでしょう。
■ 掲載した文章で分からない部分や、ご質問は何でもメールかFAXでお寄せください。また「中庭(コート)のある家」
の新築やリフオームのご相談もお気軽にお声をかけてください。
※ 第十二回から第十三回がかなり期間が開いてしまい申し訳ありませんでした。この間、講演会が続きそちらの資料作りに追われ 遅れてしまいました。 講演会のテーマは「縮小社会における日本の住まいの行方(ゆくえ)」でした。
社会の変動が激しく、私たちの心が追いつかない状況の中で、家族構成や家族そのものも大きく変容しています。
今後AIやIoTによって大きく社会の変動が予想されますが、最も大きく変わるのは「家族」のような気がします。
そんな社会で、家族を包む住まいと、その設計はどうあるべきか。そんな講演の一端もまた取り上げてみたいと思います。
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この回では、前回デメリットで上げた?〜?までの項目を説明していきます。どのデメリットも設計の工夫によって解消できます。
?平面形状が凸凹になるため建物の強度が得にくい。
私の考えは、どんなに良い建物でもそのために、建物の構造が弱くなってしまうのは、論外です。また建物は一般に正方形や長方形の形が構造的に強いと言われますが、室内の間仕切りや、構造壁のバランスが悪ければ、地震には弱い建物になってしまいます。
L型やロ型であっても、壁量のバランスを考え、壁、梁の補強やL型の場合は地中梁繋げたり、梁を回して強度のバランスを取れば強度が落ちる心配はありません。
?動線が長く、複雑になる
私の経験から、中庭(コート)のある家を作っても、動線が複雑になることはありません。それは悪い事例を取り上げている
のではないかと思います。どんなに魅力的な中庭(コート)を作っても動線が複雑になっては、家族の会話やスキンシップが
取れない事態につながっていきますのでいい結果にはなりません。私の設計の場合は、限りなく廊下0(ゼロ)に近い間取り
を心がけています。従って間取りはシンプルです。廊下が多くなるとコスト的に無駄であるばかりでなく、どうしても家族の
気配が分かりにくくなり、家族のコミュニケーションも取りにくくなってしまいます。
リビングダイニングルームを中心とした空間を、無駄な空間を作らずどうつないでいくか、設計のポイントになります。
?中庭に面積を使うため、居住スペースが小さくなりやすい
内容は?と一部重複しますが、中庭(コート)を作ることによって居住空間が減ることは全くありません。前にも記載したように中庭(コート)を作る場合、建蔽率を守ったうえ建物を隣地境界線に接近させることによって、中途半端なスペースをなくし
空地は全て中庭に生かそうとする建て方ですので居住スペースが小さくなることはありません。必要な居住面積を確保しつつ中庭をどう生み出していくか、設計の工夫のしどころです。
?窓が大きくなるので、断熱性能が落ちやすい
住まいの快適さは、風通し、居心地の良い間取り、気密性など全体のバランスの上に成り立っています。快適さや空間の豊かさを実感できる、吹き抜けやトップライト、そして窓の大きさにしても、熱損失をカバーし断熱性能を上げる断熱サッシや床暖房、通風計画など設計の方法によって解決できますので心配はありません。
上記の説明では十分ではなかったかもしれませんが、私にとってはデメリットといわれることは、デメリットと感じません。
建築ばかりでなく、どんなものでもメリットとデメリットは背中合わせにありますが、住まいの場合は、デメリットに
なりやすい部分を理解しながら、設計の方法や工夫によって中庭(コート)のメリットを最大限に生かす設計が求められるように思います。
※ デメリットの項目でさらに詳しく知りたい場合、またご質問があればお答えしますので、メールにてご連絡ください。
※ 次回はまとめとして、再度「中庭(コート)のある家」の魅力を考えてみたいと思い案す。
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この回では、中庭(コート)ある家のデメリットといわれる項目について、述べていきたいと思います。
■ 主なデメリット
? 外壁が多くなるため、建築費用が上がる。
? 平面形状が凸凹になるため建物の強度が得にくい。
? 動線が長く、複雑になる。
? 中庭に面積を使うため、居室スペースが小さくなりやすい。
? 窓が大きくなるので、断熱性能が落ちやすい。
上記のデメリットは、インターネットに掲載されている数社からピックアップしたものです。結論から言いますと?〜?
においては、設計者と施工者のレベルが高ければ解決できる項目ばかりです。少し難しい言い方になってしまいますが、
在来の建て方ならば、仮に建築がお粗末でも庭の植栽などによって住居全体の質をカバーできる部分もありますが、
中庭(コート)のある家は、敷地全体に親密度が高まるため、デザイン密度や建築の質を上げることが求められます。
従って設計者選びに失敗すると、デメリットといわれる項目が、現実的なものになってくると思います。それだけ設計者の
実力が問われるといってもいいと思います。
?はデメリットの中でも筆頭格のようですし、お客様にとって最も心配な所です。少し長くなりますが、説明しますと
家の総工事金額は、大きく分けると、構造、基礎といった躯体工事、造作、内装、設備、外構工事に分けられます。
中庭(コート)があるL型、ロ型といっても一般の建物とくらべて技術的に難しい訳ではありませんから、大工さんを含めた
職人の手間は、面積が同じであれば、特に変わりません。また凸凹があって、外壁の面積が増え壁材が増えたところで
それほど大きな金額にはなりません。むしろ中庭(コート)を採用することによって、金額が減額になる部分もあります。
もともと中庭(コートハウス)のある家の設計は、敷地いっぱいに建てることにより、中途半端な空地をなくし、空地はすべて
中庭(コート)として生かそうとする発想です。従って隣地境界いっぱいに建てますから、玄関に面する以外の塀工事は
不要になります。その結果、私の事務所では総工事金額では中庭(コート)のある家が一般の家より建築コストが高い
ということはありません。
※ デメリットとして建築費用が上がると指摘するなら、中庭(コート)のある家にすることによって、不要になる工事、
減額になる項目も同時に取り上げないと、建てる方の不安を煽るだけになってしまい片手落ちではないでしょうか。
塀のほか、隣地境界に接する壁面には、最少の風通しや換気の窓しか設けませんので、その分金額は抑えられます。
建築工事金額が上がることを心配されて、中庭(コート)ある家に魅力を感じながら、断念する方も多いのですが、
心配なく挑戦してもらいたいものです。悩んでいる部分があれば、ご相談ください。
?の説明が長くなりました。?〜?は次回、第十二回として掲載します。
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これまで第一回から中庭(コート)のある家の素晴らしさを、物理的(陽当たり、風通し、明るさ)なメリットと
精神的(家族の気配、癒しの場、居場所、精神の安定)な役割について述べてきました。しかし、一方中庭(コート)
のある家に住みたいと思いながら、あきらめてしまう方も多いようです。その理由は敷地が狭いという理由のほか、
ネットで「中庭のある家」を検索すると、メリット(長所)とデメリット(短所)が掲載されておりデメリットを気に
してしまうことが多いようです。中でも一般の家より中庭を作ると、建設コストが上がるということが不安で、
という理由が多いようですが、とても残念でもったいない気がします。
どんな家の建て方でも、メリットとデメリットは背中合わせにあるものです。情報があふれるこの時代は、ネット
で書かれていることもあくまでも一般論です。設計の工夫や考え方によって、デメリットがメリットに変わったり
回避する方法や、極力小さくすることは可能です。そのうえでメリットを最大限生かすことができる計画をすべき
なのです。
一般的にインターネットでデメリットといわれる項目をピックアップして見ました。分かりやすく大きく分けると、
コスト、平面プラン、メンテナンスの項目に分けられるようです。コストはもちろん建築金額のことですし、
平面プランは生活動線や間取りのこと。そしてメンテナンスは維持管理のことです。それぞれ一般の建物から比べると
デメリットと指摘されていますが、本当にそうでしょうか。次回は項目別にデメリットといわれる部分を考えて
みたいと思います。
※ 次回は今週中に掲載したいと思います。
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単体家族、二世帯住宅や個人の領域を考えたとき、中庭(コート)は、暮らしの中で実に多くのステージを提供
します。中庭(コート)を通じての交流、触れ合いはお互いの距離感を見つけていきます。中庭にどんな要素を
もたせるか、その家族によって異なりますが、ここではその利用事例をあげてみます。
ぜひ自分の家族にとってベストの利用方法を考えていただければと思います。また中庭(コート)は室内の部屋
と違い、家族のライフスタイルや家族構成の変化によって、容易に変えることができますので、家族と考え
変えていく作業も楽しいでしょう。
記念樹
両親、夫婦、子どもと一緒に植える記念樹。樹の成長とともに家族も成長していく。記念樹はどの部屋からも見え、
思い出に残り、家族共通の話題を提供します。花や実がなる樹ならなお楽しいかもしれません。
縁側空間
かつての縁側は外と内の境界域。外でもなく内でもない中間的なスペースであり、近隣とのコミュニケーションの
場であり、日常生活の中で子どもたちとお年寄りが自然に触れ合う場でもありました。設計の工夫によって縁側と
同じような役割を中庭(コート)に求めることもできます。
家庭菜園
丹精込めて作る菜園は作る人の生きがいになるかもしれません。(たとえば、おばあちゃんが作った野菜など。)
収穫されたものを家族みんなで食べれば会話がはずみ、家族の絆も深まります。家族全員から見守られている
ということが大切です。
多様性と可能性
囲われた中庭は安心できる半外部空間。三世代揃っての食事、バーベキュー、近隣や友人を呼んでの接待、子ども
との水遊び。時間と空間を共有しているという安心感があり、活用の仕方によって相互の理解を深め、たくさんの
楽しさを演出できます。
居場所、癒し空間
住まいに無目的な自然の中庭(コート)があることは、住む人の心に余裕が生まれます。様々な状況やその時の気分
によって自由に使うことができる。一人の読書、コーヒータイム、趣味を楽しむ場、アスレチック、ヨガ、等。
自己確認や生産の場、そして様々なストレスを癒す場として有効なはずです。
※ 27日(月)掲載の予定が本日になってしまい申し訳ありません。次回第十回は来週掲載予定です。
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寓話(ぐうわ)でヤマアラシノジレンマという話があります。 「ある寒い日に一組のヤマアラシがお互いに身体を暖め
合っていた。ところがお互いの棘が刺さり痛い、でも離れると寒い。こうしたことを繰り返しているうちに痛くもなく、
寒くもない、距離を見つけていく。」というお話です。この寓話は、物理的な距離から生まれる人間関係や、個人対個人
の心理的距離を、どううまく作るのかという、二世帯住宅に住み始めるにあたって、様々な示唆を教えてくれます。
二世帯住宅のもう一つの面は、お互いが経済的合理性を求めた妥協案という側面もあります。従って三世代が限られた
空間に住めば、小さな感情のぶつかり合いは避けられず、別々に暮らしていたほうが、お互い良かったなどというケース
も結構多いようです。なまじ血縁であるだけに、抜き差しできないところに追い込まれ、不幸な家庭にしてしまうケース
も多いのです。
二世帯住宅がうまくいく理想的な平面プラン(間取り)はありません。その家族によって事情が全て異なります。家族の
状況に合わせて、その家族に最もふさわしい住まい方とその舞台をつくりあげるしかありません。
二世帯住宅を成功させるのは、私は三つの要素が必要と考えています。ひとつは平面プラン(間取り)の検討。自分の家族
にとって二世帯住宅はどんな間取りがいいかをよく検討する。これは簡単なようでとても難しい作業と思いますが、
陽当り、風通し、家族の気配、が分かることを軸に各部屋のつながりや、広がりのある空間を考えていきます。
二つ目と三つ目は、いわゆるソフトウエアといわれる部分で、いくら陽あたりや風通しが良くてもソフトの部分がうまく
機能しなければ失敗に終わります。親夫婦、子供夫婦の間でお互いが理解しあえるまでしっかりと話し合い、家の使い方
まで突っ込んだルールをつくりうまくいくよう工夫していくことが大事です。中庭(コート)のある家は、上手に使うことに
よって、親世帯と子世帯の緩衝的な役割を持ち、様々な生活のシーンによって、居場所の提供、個人の精神的癒し空間
としてとても有効な空間になるはずです。
二世帯住宅がうまくいくために上記の要素を網羅することは、はじめて家づくりをする家族にとって、ハードルが高く
無理ですので、建築家との共同作業は必要と考えます。
※ 次回は二世帯住宅の中庭(コート)はどんな役割や楽しみ方ができるかを考えます。8月27日(月)掲載予定。
「私の中庭(コートハウス)論」第八回は21日掲載予定でしたが、本日になってしまいました。お詫び申し上げます。
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二世帯住宅の設計
いちがいに二世帯住宅といってもその形態は様々です。親世帯と子世帯との間でどこまで分離し、共有するか
によって、二世帯住宅の性格付けが分かれます。たとえば夫婦の寝室、リビングダイニングキッチンは別々にし、
その他は共有の場合と、寝室、浴室、洗面洗濯は別々にし、その他は共有の場合とは、人間関係も家族の距離
の取り方も大きく異なってきます。いずれにしても二世帯住宅の設計は間取りにおいては一緒に暮らすことが、
お互い違和感を感じず、暮らしが一体になれる人間関係を、どう一つの家の中に作っていくかが、設計の要点
になります。二世帯住宅の場合、中庭(コート)を設計に取り入れるとしたら、どんなメリットがあるのか、
ハードウェア的な面と、ソフトウェア的な面から、二回に分けて考えてみたいと思います。
在来型の家で最も多い間取り(平面プラン)は,nLDK型(nは部屋数)の間取りです。玄関に入ると廊下があり、
両サイドに部屋が並ぶといった、中廊下型の住まいで、現代のほとんどの家がこんな描写の中に納まっています。
昔も今も、陽あたりと、風通しは、日本における健康な家づくりのキーワードです。そのことが分かっていながら、
陽があたらず、風通しも悪い中廊下型の住まいを選択してしまうのはなぜでしょうか。
この中廊下形式で二世帯住宅を考えると、独立された部屋は、ドアを閉めれば家族の気配は全く分からず、室内の
風通しを悪くするばかりでなく、これでは人と人、家族の心と心の風通しをも妨げてしまいます。
中庭(コート)をもった二世帯住宅ならどうでしょうか。
中廊下を無くし、リビング、ダイニングを含めそれぞれの部屋を全て中庭に開口部を持つようにします。
間取り的にはそれぞれの部屋とリビング、ダイニングをどうつないでいくか、そのことによって「広がりのある空間」
をつくり出していきます。どの部屋も明るく風通しがよい住まいが実現します。そして、中庭(コート)を通して
家族関係で大切な、姿が見える。声が聞こえる。様子がわかる。が可能になり、たとえ会話を交わしていなくても、
お互いの理解度は深まります。
二世帯住宅において三世代が一緒に暮らす以上、トラブルの種はいくつも生じるはずです。そんな紛争の種を
できるだけ減らす、住まい方の工夫や、役割も中庭(コート)はもっていると考えます。
次回は中庭(コート)自身が陽あたり、風通し、のほかにどんなメリットがあるか、考えてみたいと思います。
※ 次回「二世帯住宅と中庭(コート)」 (2)は、夏休みをいただき、8月21日(火)に掲載予定です。
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Sさんにとっての中庭(コート)
私の設計した「中庭(コート)のある家」に住んでおられるSさんのお話です。Sさんの住まいは、玄関に入ると
長いベンチがあって、目の前のインドアの中庭には、3M以上の竹が植えられています。
職業はIT関係でとても忙しく、帰りもいつも11時過ぎで、会社では常にストレスにさらされている状態だ
そうです。Sさんは帰ってくるとしばらくの間、ベンチに座って竹林の先の夜空を見上げるのだそうです。
ある夜は、月の光やその光が竹の林に降り注いでいるのをじっと見上げていると一日の疲れや、ストレスも
癒され、優しい気持ちになるということです。
Sさんにとって中庭(コート)は、気持ちを切り替え、明日の再生産の場として、とても大切な居場所であり、
なくてはならない場といわれています。
中庭(コート)空間 大人が求める居場所
夫が住まいに求めているものと、妻が住まいに求めているものは当然異なりますが、共通しているのはともに
「家庭の中に自分のスペースがほしい」、「自分一人になれる場所がほしい」ではないでしょうか。
言い換えれば、自分自身の居場所の確立を望んでいるともいえますが、住まいの中にどこにも見いだせない
現状がストレスを生んでいます。
子どもが求める居場所は、成長過程で親が居場所を見つけてあげなければなりませんが、大人は家づくりの
段階で、どんな暮らしを展開しようとするのか、どんな家族関係を築こうとするのかを考え、また夫婦が
それぞれの居場所を含めた検討をしておくべきなのです。夫婦を結ぶ絆それが[住まい]なのだと思いますが、
現実はあまりにも安易に住まいを考え、家づくりをしているような気がします。
中庭(コートハウス)の歴史は当初自然の猛威から身を守るため、防壁や部屋で囲んで真中に中庭(コート)をとった
形態が発祥でしたが、現代は都市住宅の置かれている環境悪化や、個人の自立、そして囲まれて自分一人に
なれる機会に恵まれるためストレスから逃れる場として中庭(コート)は有効に働くのではないかと考えます。
※次回の「私の中庭(コートハウス)論」 第七回「二世帯住宅・同居型と中庭(コート)」は8月10日に掲載予定です。
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住まいにおける夫婦にとっての中庭(コート)
これまで子どもにとって「中庭(コート)のある家」が成長過程でどう影響するのかその関係性を述べて
きましたが、中庭(コート)はむしろ夫婦や高齢者つまり、大人にとって必要なのではないかと思います。
住まいの今日的状況
これまで家づくりは、その動機も「子どものために建てる」が最も多いように、以前から子ども中心の
家づくりをしてきました。たとえば、子ども部屋の位置は、環境の良い場所を占め、それに引き替え、
夫婦の寝室は狭く寝るスペースしかないのがほとんどです。高齢化社会になって、男女とも平均寿命も
大きく延びました。家族のライフスタイルを考えたとき、子どもの部屋が必要なのは仮に小学4年生頃
から大学を卒業し,就職までと考えると14、5年ほどのことでその後、夫婦で過ごす20年〜30年の
時間のほうが圧倒的に長いのです。
家族は空間と共にあって、空間の占め方で家族の人間関係も大きく変わってきます。子ども中心の住まい
から、夫婦を中心に過ごしていく住まいを視野に入れながら家づくりを考えるべきだと思います。
なぜなら子供が巣立って行っても、その後の子ども部屋の有効利用は考えられていません。子ども部屋は
空いたままか、物置か、妻が子ども部屋に移って、夫婦別寝室になるかいずれかで、家全体を見直す
リフォーム等も考えられていないのが現状です。住宅産業は便利、快適な商品には熱心ですが、住まいの
ソフトの部分は、何の提案もありません。
家庭内別居や離婚はどの年代にも多く、原因も小さな不満の積み重ねが元になっていると思えますが、
その不満には往々にして住まいがかかわっているケースが多いのです。その不満の原因を吟味してみると
お互いの居場所がどれだけ確保されているかにたどり着きます。
子育てに専念する20代〜30代、子どもの学校が終わり家を出る40代〜50代、その後夫婦で過ごす
生涯の時間。それぞれのシチュレーションの中で、家族から個人として住まいに求めるものも変わります。
一人で過ごす時間と空間は、この時代ほど必要と思いながら、私の設計する家でも夫の書斎が求められても
妻の個室はありません。データでは、8割以上の主婦が個室を求めています。
子育てに疲れたとき、誰にも邪魔されず一人で読書をしたいとき、ストレスを解消したい時、住まいの中で
見つけられますか。そんな時、住まいの同室空間の中に自然の中庭(コート)があれば心は癒されるはずです。
※ 次回「私の中庭(コートハウス)論」 第六回 「夫婦と中庭(コート)」(2) は8月7日(火) に掲載予定です。
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