敷地 との 出会い  ・  敷地と建物 の話

  • 2007.11.22 Thursday
  • 10:08


 敷地を見に新しいクライアントと同行しました。
 クライアントは、一年半ほど休みのたびに探し回り、あきらめかけたころようやく見つかったと言う事です。
 私の事務所に決まるまで、何社かのハウスメーカーに設計を依頼したが満足できず、建築設計事務所に頼む事にしたそうです。

 クライアントと敷地との出会いは様々で、見つかるまでのプロセスは一つの物語が出来るほど紆余曲折があります。
 そんな家族の想いがこめられた土地、そして完成する建物や暮らしへの期待。

 建築家としてどんな設計をし、どんな環境を創って行くか重い責任を感じます。

 だからこそ始めて見る敷地は緊張もし、その敷地から何を読み取るのかは、設計を進める大きなファクターになります。


 





その土地の持つ歴史や風土性、風の匂いなど。   迷ったら再度その土地を訪れます。

 これから一年余にわたってクライアントとの共同作業が始まる、スタートの日でもあります。

敷地と建物 の話

どんな敷地であっても、その土地の持つ特性があります。
特性とは形状ばかりではなく、その土地の気候、風土、歴史、地霊など。

 分かりりやすく言えばその土地が以前山だったのか、湿地だったのか。

 また、どんなプロセスを経て街並が形成されたのかなどをどう読み取るかによって、クライアントの同じ与条件でも当然設計が変わってくるはずです。

 従って北海道から九州までどんな土地でも 同じ外観の間取りや建材を使う、 ハウスメーカーやや建て売リ業者の規格住宅は、どんなに設備が高度化し便利になっても 家づくりのポリシー としては、間違っていると思います。
 それは、金額の問題ではないのです。

 規格住宅は基本的に大量生産をめざし、経済効率主義の最優先を前提にしたものです。

 住まいという経済効率主義から最も遠いとことにあるはずなのに規格住宅は、地方も都会も関係なく、住まいの均質化や画一化を一気に促進したと言えます。

 土地、建物、そして環境。 豊かな環境はみんなの財産です。

 どんな敷地でも、その場に住まいを建てるということは、自ら環境づくりに参加すると言う誇りと責任を持ってもらいたいと思います。

 その結果としての建物は、環境に対してクライアントと建築家が共同で責任を持つという事でもあります。















設計室からの風景 ・ クライアントのなにげない一言の話

  • 2007.11.15 Thursday
  • 17:30


今日は、終日設計作業や面接に追われていました。
この写真は事務所の設計室から見える風景で、午後3時頃撮ったものです。

眼下に広がる公園は、新宿西口公園と、東京都庁とNSビルなどのオフィス街です。

 季節が秋からいつの間にか晩秋になり、公園の樹木の紅葉も終わりに近づいたことに、驚かせられます。
 冬に向かってのこれからの季節は、空気が澄んで遠く高尾連山の山々や、その先の富士山までくっきりと美しく見えます。
 
 夕焼けが好きな私は、特に美しくなると思われる日は、時々目の前の東京都庁最上階の展望室や、すぐ近くの新宿パーク・ハイアットホテル 41階のロビーラウンジへ足を運びます。夕日を見ながらいっぱいのビール。

 そんな時は、とても幸せな気持ちになります。
夕日が沈み、 残照のなかに浮かび上がる、富士山や山々のシルエット。感動的ですよ。 

 
 空気が澄んだ日の夕焼けと、冬枯れの新宿西口公園の写真にご期待下さい。





クライアントのなにげない一言の話

一軒の家を建てるまでに、クライアントからより快適に、より便利に暮らすための要望事項がたくさんでます。またその要望を引き出すことも建築家の大事な仕事でもあります。
 
 夕焼けを部屋から見たい、雨の日は雨の音を聞きたい、寝室からや星を見たい。
 こんな便利、快適以外のなにげない一言を聞くと、とまどいと同時に正直ほっとした嬉しさみたいなものを感じます。

 安易に分かりましたと言って、後で設計上の苦労をすることが分かっていても、ついついがんばってしまうのも、建築家としての職業意識でしょうか。

 季節の風や、匂い、街の音。
そして窓からの夕焼け、雨の音が聞こえる当たり前の住まいが消えて、ずいぶん経ちます。

 高度な設備も取り入れながら、居心地のいいバランスの取れた住まいづくりが必要だと思います。














淡彩 スケッチ  ・  住まいと 花・植栽 の話

  • 2007.11.06 Tuesday
  • 11:48


設計のあい間に、時々手元にある季節の花や,植物のスケッチをします。
 今日は一輪のコスモスの花を描きました。
 たった15分ほどですが、描いているとこれまで出会った、様々な情景が思い出されます。
 
信州長野のどこまでも続く、コスモス街道。 亡き母が庭に植えた一株のコスモス。
 秋の青い空と、風に揺れるコスモス。
 



秋の風景になくてはならない、私の好きな花でもあります。

デジタルカメラや、ケータイ写メールが盛んですが、白いスケッチブックに描いていると、遠い記憶の底の想い出が、ふと蘇ってくるのも、スケッチならではの楽しさではないでしょうか。


写真とスケッチは、9月の初めの 五色沼 (福島と米沢にまたがる裏磐梯の湖)。そばの小道に座り、日が暮れないうちに、急いで描いたスケッチです。

夏の終わり、深緑の山や樹木が、美しく湖面に写っていました。



今ごろは、紅葉が終った頃でしょうか。
落葉を踏みしめながら、歩いてみたい小道でもありました。

日本の四季の美しさと、奥の深さを感じます。


住まいと 花・植栽 の話


私の好きな建築家、故 吉村順三氏の住宅設計の多くには、リビングに暖炉があり、庭や室内には、が溢れ、敷地が許せば 池 をよく作りました。
 これは、吉村氏の設計コンセプトと言うよりは、人間の暮らしに、火・緑・水 が近くにあることが、人間の存在を確かめる、必要不可欠だと考えている事によります。

 火・緑・水 は私たちの暮らしに 潤い、喜び、そして、生きる力を与えてくれる事は、間違いありません。
 私は、いつも住宅を作る側の心構えとして、美しい街並は一軒の家から始まる という信条のもと、美しい街並には、樹木の緑や、花が無くてはならない要素だと思っています。

 かつての時代、道路沿いには生垣が植えられ、垣根越しに見る季節の花々や、植栽から住んでいる人の人柄をもしのんだものでした。
 しかし、現代はブロックや、コンクリートの塀で囲まれ、社会に閉ざした防御の姿勢だけが目立ちます。
 文明は進化していると言うものの、とても淋しい気がします。

 玄関前のシンボルツリーや中庭の一本の木、出窓の鉢植えの花は、私たちの生活に、深い安らぎや家族の絆を も育む事に、気づいてほしいと思います。

 
 (美しい枝ぶりの樹木は、とても家を引き立たせてくれます。 私がいつも好んで植える木は、枝が横に張らない ヤマボウシ、ヒメシャラ、ハナミズキ、孟宗竹、金木犀、ヒイラギ などでしょうか。)














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